感染を警戒?国内物流も遅延
世界の優等生と国内外へ喧伝していた中国の感染拡大が止まらない。
中国当局の発表によると、中国本土での7日の新型コロナウイルスの新規感染者は1540人(前日から256人増)。中国の定義で感染者にカウントしない新規陽性者(無症状感染者)は2万2561人(前日から850人増)。
無症状感染者もカウントする日本の発表定義では2万4101人となる。
公表されている中国の総人口から考えると、まだまだ少ないと言えなくもないが、中国当局の発表する統計は、中国共産党のための数字のため、そのまま鵜呑みにするは危険だ。参考程度にするべきだろう。
日本でも報じられている事実上の都市封鎖(ロックダウン)が続く上海では、食料不足が深刻になっている。住民たちが、悲鳴を上げる動画がSNSへ投稿されては削除を繰り返している。
中国は、ダンボールや包装を経由してウイルスに感染すると広く信じられている影響もあってか、全土的に国内物流の遅延が発生している。
省内移動でも14日間の自宅隔離
ロックダウンが実施されていないとされる地方都市でも区単位での外出禁止など、ほぼロックダウンが行われている都市が複数確認されている。
その1つが遼寧省瀋陽。7日の新規感染者は1人、新規陽性者19人。日本の発表定義で20人確認されている。
先日もお伝えした通り、瀋陽では中国最長の35日間の入国時の隔離が実施されているなど、ロックダウンに近い状況は、3月からすでに数週間も継続されていることになる。
今や中国全土へ延伸されて移動の利便性を格段に向上させた新幹線(高速鉄道)が、皮肉なことにウイルスを拡散させるとして規制対象となっている。
たとえば、瀋陽から同じ遼寧省の大連へ高速鉄道で移動する場合、およそ400キロ・メートルほどの距離であるが、大連到着後は14日間の自宅隔離が義務付けられている。
日本にそのまま置き換えると東京から大阪へ新幹線で移動したら、大阪で14日間隔離されるようなものだ。
しかし、中国人の地理的な感覚からすると、もっと狭い地域、隣県移動くらいの認識だと思われる。
当然、空路や長距離バスでも同じ対応が行われている。
これが中国国内の感染対策の現実だったりする。
健康QRコードで行動監視されているので…
先週、親戚の法事で瀋陽へ行かざるを得なかった大連在住者に聞くと、隔離と言っても新型コロナ陽性時のように個人情報が公開され、見張られている監視下に置かれるわけではなく、現在の日本での自宅療養に近い要請ベースのようだ。
近所であれば、こっそりと外出もできる。しかし、中国では、健康QRコードを提示しないと入店、利用できない場所が増えている。うっかりそれらの場所へ行ってしまうと隔離義務を破っていることがバレ、厳しい罰則を受けることになる。
そのため、健康QRコードが不要な個人商店や飲食店、公園などへ行っていると教えてくれた。
まさに「上に政策あれば下に対策あり」といったところだろうか。