金正恩総書記、松新・松花地区の建設現場を視察
朝鮮労働党機関紙・労働新聞は3月16日、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、平壌市の建設現場を視察したと報じた。視察日は不明。
建設現場は、「松新(ソンシン)・松花(ソンファ)地区住宅」建設が進められており、1万戸が建設される予定だ。
平壌市では、2021年から5年間で、5万戸の住宅を建設するという大規模プロジェクトが進行しており、松新・松花地区住宅はその1つ。
このほかにも今年2月に「和盛(ファソン)地区住宅」建設工事が着工している。
4月15日までに80階建てタワマン入居開始
金正恩総書記が視察した松新・松花地区は、1年前の2021年3月23日に着工した。
故金日成(キム・イルソン)主席の生誕記念日である太陽節(4月15日)までに工事が完了し、入居を開始すると発表されている。
この地区の面積は、56ヘクタール(56万平米)で、東京ディズニーランド(千葉県浦安市)と同じくらいの広さだ。
労働新聞は、「近代的かつ特色ある80階建ての超高層住宅をはじめ、1万世帯の多様な超高層・高層住宅や保健医療、教育、便益サービス施設が配置された」と伝えている。
目玉となっているのは、80階建てのタワーマンションだ。
平壌市では、2015年に53階建て、2017年に70階建てのマンションが建設されているが、今回、それを上回るマンションが、工期わずか1年で完成したことになる。
日本で最も高い居住用マンションが、今年1月に竣工した地上53階建ての「虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー」(東京都港区、工期約5年)であることを考えると、超高層マンションを急ピッチで建てたことがよくわかる。
5万戸の建設予定地は平壌郊外で計画
平壌市は、第8回党大会(2021年1月)で決定した「平壌市5万戸住宅建設計画」に基づいて、松新・松花地区の完工後、和盛地区などで建設計画が進められることになる。毎年、1万戸を建設する計画だ。
平壌では、これまでも、未来科学者通り(2015年完工)や、黎明通り(2017年完工)など、相次いでマンション建設が行われてきた。
これら過去のマンションと異なり、今回の5万戸計画の建設予定地は、いずれも平壌中心部から離れた郊外という特徴がある。
単に十分な面積の土地を確保するためなのか、それとも、平壌郊外を発展させようとしたのか、狙いは不明である。
この5万戸計画とは別に、平壌中心部に800戸規模の「普通江川岸段々式住宅区」を建設することも発表されている。
すべての建設には、相当量の建設建材が必要になる見込みだが、金正恩総書記が特に関心を持つ計画とだけあって、優先的に進められるものとみられる。
八島 有佑
@yashiima