2010年前後に多かった韓国へのタイ人の売春渡航
外国人犯罪の半数を中国人が占める韓国 異なる日韓外国人犯罪事情の続き。
韓国国内ではどうだろうか。
韓国メディアによれば、韓国国内における外国人犯罪において、特にタイ人の犯罪の場合は、賭博などの組織犯罪が目立つという。
日本の統計では、ベトナム人は窃盗、万引き、自動車窃盗などの目立った犯罪に必ず上位5位以内に入っているものの、タイ人は特に顕著な偏りは見られない。
しかし、韓国では、少なくとも韓国メディアは、タイ人犯罪は組織的だと指摘している。
現状は新型コロナウイルスの影響で、各国への渡航はどこも容易な状況にはないが、2010年前後は、タイ人女性の海外渡航は確かによく見られた。
渡航先は中国、シンガポール、韓国が多く、彼女らの目的は、違法な売春などだった。
名目上はタイ古式マッサージの施術師、あるいは、調理師や飲食店店員などであるが、実際には観光ビザなどで入国して、滞在期間はみっちり働いて帰ってくるという手口が多かったようだ。
中には、本当に飲食店や古式マッサージ店の就職と思い渡航をするケースもあったが、実際には、ほとんどの女性が何をするために渡航するのかを把握していた。中には複数回、売春目的で海外渡航をするタイ人女性もいたほどだ。
タイ人もビザなしで韓国に90日間滞在できる
タイと韓国は相互に入国ビザの規制が緩い。
日本人がタイへ渡航するとビザなしの場合は、空路入国で30日程度しか滞在できない。韓国人は同条件では90日も滞在可能だ。
タイ人の韓国入国も同様で、90日間はビザなしで滞在できる。これもまた不法就労などの温床となり、2017年頃になって一時期は韓国内でも問題化していた。
先の売春などを目的としたタイ人渡航者への対応も強化され、韓国やシンガポールでは、入国審査が厳格化された。
所持金の確認や滞在先の連絡番号などを問い詰め、答えられない場合は、そのまま飛行機に乗せて送り返す事例も頻繁に発生した。
2020年は、すでに世界中がコロナ禍にあったという事情もあって、特にタイ人の犯罪が、賭博などに移り変わった事情があるかもしれない。
新型コロナ後も外国人犯罪と対峙する必要がある
今後も新型コロナウイルスの影響もあり、各国における外国人犯罪は変化をしながら起こり続ける。
どの国も自国民だけで経済活動を行うことは、もはや不可能で、外国人犯罪を避けるために外国人を受け入れないという選択肢はない。
これからは外国人の犯罪とも向き合っていかなければならない。
日本における外国人逮捕者数は1万1756人(令和2年度)。韓国の外国人犯罪摘発件数は3万9140件(2020年)と日本の3倍以上になっている。しかも、直近4年間で見ると韓国での外国人犯罪は増加傾向にある(国民の力のカン・ギユン議員発表)。
※件数と逮捕者数は一致しない可能性がある。
高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)