食料品や肥料は陸路運搬されず
1月中旬の陸路での中朝貿易再開からおよそ2か月。現状を取材してみた。
中国遼寧省丹東の貿易関係者によると、現状の運行頻度は週1、2回。1回20両編成で丹東駅から新義州駅へ運ばれるという。
国際列車は、低頻度ではあるも、中断されることなく継続されているようだ。
北朝鮮から中国側へは、ほとんど空っぽ状態で戻ってくる状況も再開当初から変わっていない。
中国の貿易会社から丹東市政府へ北朝鮮から酒など個別品目の輸入を要望しても断られていると関係者は明かす。当局からは、「今は特別な状況だから」以外、特に理由は示されないという。
では、現在、中国から北朝鮮へ運搬する貨物を確認すると、ほぼすべてが住宅建材とのことだ。
具体的には屋根瓦、外壁に使うタイルのような住宅建設の建材をこの数週間は運搬している。
北朝鮮専門家や研究者が注目する4月15日の金日成(キム・イルソン)主席の生誕日へ向けた食料品や肥料などは、ほとんど積まれていないとのことだ。
不足が指摘される食料品などは、陸路ではなく海上輸送されているのかもしれない。
北朝鮮研究者へ見解を求めると、「事実なら意外だ。建材であれば、三池淵で建設された住宅となるが、北朝鮮はすでに完成したと主張しているし、新たに着工式を行った平壌の住宅建設に使用するのかもしれないが、完成予定は今秋となっているので、時期的にまだ早い」と話す。
中国税関総署が発表している貿易統計は、昨年12月分を最後に更新されていない。当然ながら、中国政府が発表する統計なので、参考程度のものとなる。
とはいえ、陸路貿易再開以降、輸出品目に変化があれば、北朝鮮国内の動向を知るヒントになるので、研究者らは熱く注目する。