調査対象は世界中のビジネスマンと分析専門家
汚職認識指数は低くとも、たとえば、タイは過ごしやすく、コロナも終われば再び外国人が増えるはず
国際非政府組織「トランスペアレンシー・インターナショナル」が1995年から世界の国々の公務員と政治家がどれほど汚職をしているかの認識度合いを調査し発表している。
「腐敗認識指数（Corruption Perceptions Index）」と呼ばれるランキングで、近年は180か国が対象となり、汚職の認識度合いを比較して国別に順位付けされる。
クリーンであると数値は100に近づき、汚職が蔓延していると最悪は0というポイントがつく。
同団体からすでに2021年度のランキングも発表されているので、アジア各国の汚職認識指数のランキングを見てみた。
ただし、この指数は10の機関が調査した13種類のアンケートの報告書を統計処理している。
その機関は、アジア開発銀行やアフリカ開発銀行、世界銀行、国際経営開発研究所などで、調査対象は世界中のビジネスマンと国家の分析専門家などであるため、必ずしも各国の国民すべての認識というわけではない。
欧州の常連国の中でシンガポール4位
まずは世界のトップ10を見てみよう。
1.デンマーク：88点
1.フィンランド：88点
1.ニュージーランド：88点
4.ノルウェー：85点
4.シンガポール：85点
4.スウェーデン：85点
7.スイス：84点
8.オランダ：82点
9.ルクセンブルグ：81点
10.ドイツ：80点
上位はもはや常連国ばかりで、シンガポールも例年通り上位にランキングされている。
しかし、アジアはシンガポールのみしか入っていない。また、デンマークやフィンランドなどは、2015年は90点を超えていたりなど、2021年は全体的に前年比でポイントを下げている国が少なくない。
日本18位、韓国32位、中国66位、ベトナム87位、タイ110位
日系企業が造ったハノイの空港新ターミナルを開業時に一部を韓国専用にするよう韓国政府が裏で交渉していたと言われる
では、シンガポール以外のアジア各国の順位を見てみよう。
12.香港：76点
18.日本：73点
25.台湾：68点
32.韓国：62点
62.マレーシア：48点
66.中国：45点
87.ベトナム：39点
96.インドネシア：38点
110.モンゴル：35点
110.タイ：35点
117.フィリピン：33点
128.ラオス：30点
140.ミャンマー：28点
157.カンボジア：23点
174.北朝鮮：16点
K-POPや韓流ドラマ、家電工場の海外進出を政府が全力でバックアップしてのロビー活動が盛んだと言われる韓国は、世界的に見れば180か国中32位と決して悪くはない。
しかし、日本や台湾、香港、さらにはシンガポールといった経済的に豊かな地域には、クリーンさでは、まだ追いついていない。韓国の32位は、同位ではポルトガルが入っている。
東南アジアを見ると、マレーシア以下は、ちょうど中間になる50点にも届いていないと認識されている。
その中で社会主義国のベトナムが87位とギリギリで180か国の半分より上にランキングしているが、先進国の仲間入りをもくろんでいるタイに至っては35点と、軍事政権になって混乱中のミャンマーとわずか7点しかポイント差がない。
世界のランキング下位に入るのは案の定…の国だった
ランキング下位は案の定、北朝鮮が入っている。174位に入っているのは、ほかにイエメン、アフガニスタン。
北朝鮮より下は、ソマリアやシリアなどが続く。結局トップ10に入るシンガポールだけが飛び抜けていて、アジア各国は、汚職認識指数においてまだまだクリーンとは言えない状況だ。
ちなみに、中国政府はこのランキングを「欧州基準による恣意的なもの」と反発し、中国官製報道では伝えていないようだ。
トランスペアレンシー・インターナショナルの本部はドイツにあるとされる。
高田 胤臣（たかだ たねおみ）
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』（イースト・プレス・2018年）、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』（彩図社、2019年・皿井タレー共書）、『ベトナム裏の歩き方』（彩図社、2019年）など、近著『亜細亜熱帯怪談』（晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス）。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と（note）
