今年も中国製
2022年も1か月が過ぎようとしているが、昨年に続き今年も北朝鮮製のカレンダーは輸出されていない。
日本の一部メディアで報じられた2022年版の北朝鮮カレンダーは、昨年同様に中国企業が中国で製造したものだ。
北朝鮮で発行されたカレンダーであれば、表紙下に発行元名が明記されるが、2022年カレンダー下には「朝鮮・平壌」のみ。北朝鮮で発行していないので表記できないのだろう。
「MADE IN CHINA」にもかかわらず、北朝鮮カレンダーと伝えている理由は、採用されている今年の暦が北朝鮮公式のものを入手して採用しているからだとみられる。
毎年のように注目される金正恩(キム・ジョンウン)総書記の生誕日とされる1月8日や表記が消えたロケット工業節11月29日など北朝鮮公式の暦と考えて良さそうだ。
吊り具が国内版のポイント
2022年版は、昨年よりもパワーアップしたようで、昨年は使用許可が出なかったのか確認できなかった北朝鮮国旗が今年は確認できる。
この10数年、毎年のように北朝鮮カレンダーを買っているというある日本人男性は、細部もより本物ぽくなったと語る。
「2022年カレンダーは、これまで海外輸出用のカレンダーに使われていた白い金属製の吊り具のデザインに近くなっています。全体的に作りも丈夫ですね。でも、マニアとしては、北朝鮮国内向けのすぐ折れるカラフルなプラスティック製の吊り具のほうがポイントが高いんですよ」
北朝鮮国内向けの2022年カレンダーは、発行されていないのだろうかと探してみると、朝鮮新報が1月18日に4種類の国内向けカレンダー写真を伝えている。
表紙からは、金日成広場での花火、自然風景、植物、料理などをモチーフにしたカレンダーであることがわかる。
確かに前出の男性が言う通り、吊り具はプラスティック製のようなので、日本のメディアで紹介された金属製のものとは異なっている。
北朝鮮カレンダーの最大顧客は日本人
北朝鮮カレンダーは、外貨稼ぎの重要な手段の1つとしばしば指摘される。
しかし、外稼ぎよりも体制宣伝の意味合いの方が大きいと考えられる。なぜなら、カレンダー、特に壁掛けカレンダーを日常的に使う国は、北朝鮮の周辺では日本くらいだからだ。
中国は壁掛けカレンダーを使用する習慣自体がない。中国最大のECサイト淘宝網(タオバオ)で検索しても数えるほどしなく、書店でも売られていない。
各企業が顧客向けのサービスで、卓上カレンダーを作って顧客へ配布することはあるが、壁掛けカレンダーは見かけない。
中国でも高麗航空カレンダーは人気のようだが、それは、カレンダーとしてではなく、鑑賞目的の絵画のようなイメージで購入しているようだ。
実は、北朝鮮カレンダーの最大の輸出先は日本だったりする。最大と言っても多くて数千部ほどとみられる。
先日から中朝貿易の幹である陸路での貿易が再開されつつあるが、春先にでも北朝鮮カレンダーが中国へ輸出されるのだろうか。
もし、中国へ輸出されれば、日本へも本物の2022年版の北朝鮮カレンダーが入ってくる可能性はありそうだ。