懸賞金を受け取った男性らも検閲対象?
70万元(約1250万円)の懸賞金がかけられていた朱賢健(チュ・ヒョンゴン)受刑者が、脱獄から41日目の28日に身柄を確保された。
地元吉林省のメディアによると、朱受刑者は吉林市郊外の松花湖近くの漁師が夏場に使用する小屋に潜伏していたという。
松花湖で養殖している魚が盗まれていることから、犯人を追跡したところ、朱受刑者の潜伏先を突き詰めて身柄確保となったと伝える。
北朝鮮からの脱北者である朱賢健受刑者の身柄拘束は、中国のSNSでも大きく報じられている。現時点でも「朝鮮」で検索すると、7割がこのニュースで埋め尽くされている。
ここで気になるのは、吉林省なら家族で住めるマンション1部屋を即金で買えるくらいの懸賞金の行方だ。
ところが、懸賞金について言及している投稿は少ない。さらに懸賞金に絞って検索していくと、70万元は協力者である3人の男性へ支払われ、男性らは朱受刑者の顔写真を持って「70万ゲット!」という動画を抖音 (中国版ティックトック)に投稿。しかし、すぐに削除されたとのことだ。
その理由は、多くのネットユーザーから「犯罪者で金を稼ぐな」という批判を受けたためだという。以降、関連投稿や画像は検閲対象となり、削除された可能性が高い。
朱賢健受刑者拘束についての微博(ウェイボー)投稿には、「痩せたね」「生存力がすごい」「韓国へ送ってあげれば?」「望み通りの終身刑」「監獄よりも地獄(主語なし)」「刑務所でも食事ができるだけ(北)朝鮮より良いんでしょ」などのコメントが確認できる。
18日の懸賞金増額発表で、SNSが沸騰した時と同様、脱獄を許した刑務所や1か月以上も逃走させた公安(警察)への批判は確認できない。
多くの中国人は、公安への批判が国家への批判とみなされて確実な不利益を被ることを熟知しているので、書き込まないか、当局が手動で削除しているかのどちらかだろう。