日本政府が韓国警察トップの竹島上陸に猛反発

日本政府が韓国警察トップの竹島上陸に猛反発

韓国による不法占拠が続く島根県竹島

 韓国警察トップの金昌龍(キム・チャンリョン)警察庁長官が11月16日、島根県の竹島(韓国名・独島)に上陸したことを巡り、日韓関係がさらに緊張化している。

 日本政府は竹島上陸を問題視し、直後に開かれた日米韓外務次官会談(17日)後の共同記者会見を拒否する事態に発展した。

 単独会見を開くこととなったウェンディ・シャーマン米国務副長官は、変更理由は日韓の「意見の不一致」と述べているが、予定されていた共同記者会見が中止されることはきわめて異例だ。

 韓国メデイアの多くは日本政府の対応を問題視して報じた一方、日本では「毅然とした対応」と好意的に受け止める声も多数あった。

韓国国会議員による竹島上陸が増加し始める2005年

 韓国の国会議員は“独島は韓国の領土”という認識のもとで、「独島訪問」を繰り返してきた。

 2008年には韓昇洙(ハン・スンス)首相(当時)が、現職首相として初めて竹島に上陸。

 2012年には李明博(イ・ミョンバク)大統領が、現職大統領として初めて竹島に上陸したことで、日韓関係悪化の最大の原因となった。

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領(2005年)と、文在寅(ムン・ジェイン)大統領(2016年)も、大統領就任前の議員時代に竹島を訪れている。

 その他、俳優のソン・イルグク氏や、歌手のイ・スンチョル氏など著名人も竹島上陸を実行しており、そのたびに話題を呼んだ。

 ただ、国家議員の竹島上陸が活発化したのは、島根県が条例で「竹島の日」を制定した年でもある2005年に韓国国会の国防委員会所属議員が訪れた頃以降である。

 実際、初代大統領の李承晩(イ・スンマン)大統領から現大統領までの12人の大統領経験者のうち、竹島上陸が公になっているのは、前述の李明博氏、朴槿恵氏、文在寅氏の3人だけである。

 竹島問題がより顕在化したことで、韓国側が竹島上陸を戦略的カードとして使用するようになったと言える。

日本政府の抗議にも限界

 外務省では、「竹島は日本固有の領土」という立場から、竹島上陸が行われるたびに駐日韓国公使を呼んで抗議しているものの、それ以上の対応策を取ることができていない。

 実は、警察トップによる竹島上陸と同じ日の11月16日に、日韓議員連盟傘下の「朝鮮通信使委員会」の国会議員が関係改善の話し合いのために訪日したが、その中に、竹島訪問経験のある成一鍾(ソン・イルジョン)議員も含まれていた。

 日本政府の立場で言えば、成一鍾氏は、「日本政府の許可なく自国領土(竹島)に上陸した不法入国者」という扱いになるが、入国が禁止されることなく入国できている。

 同議員に限らず、竹島上陸を行った国会議員の訪日を拒否した例はない。「入国を禁止したところで、余計に問題がこじれるだけ」という懸念もあるのかもしれない。

韓国の強硬姿勢の背景に竹島の実効支配

 韓国が竹島問題において強硬姿勢を貫く背景には、韓国による竹島の実効支配がある。

 1952年に韓国は、いわゆる李承晩ラインを設定し、そのライン内に竹島を取り込んだ。この時、日本は「国際法に反した行為」として抗議したが、1953年から韓国国家警察が竹島に常駐を開始し、そのまま韓国による実効的支配が続いている。

 韓国側には、「韓国が独島(竹島)を実効支配しているのだから、日本からの抗議にいちいち相手しなくてもいい」という余裕がある。

 もはや、「竹島はどっちの国の領土」という次元で問題を捉えていないし、領有権問題が未解決の状態にあっても、韓国にとって大きな問題ではないという見方もできる。

日韓関係悪化で遠のく竹島問題解決

 このように日本の立場では、「竹島は韓国の武装警察により不法占拠されている」状態にある。

 日本が実効支配されている竹島を取り戻すためには、外交的解決か戦争しかない。

 しかし、もちろん、後者はありえない。そのため、日本政府も「国際法にのっとり、冷静かつ平和的に紛争を解決する」という立場から竹島の領有権に関する紛争を国際司法裁判所(ICJ)に付託することも提案したが、韓国はこの提案を拒否している。

 元慰安婦や元徴用公を巡る訴訟など懸案事項が山積みな上に、まともに対話もできないほど日韓関係が悪化している現状では、竹島問題も八方塞がりである。

八島 有佑
@yashiima

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