北朝鮮が今でも重視する91年南北基本合意書
北朝鮮が今でも重視する91年南北基本合意書
韓国の聯合ニュースは10月26日、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領が亡くなったと報じた。
盧泰愚氏は1932年生まれで、88年2月から93年2月まで韓国大統領を務めた。マルタ会談(89年12月)での冷戦終結宣言を受け、社会主義諸国との関係改善を図る「北方外交」を展開。90年にソ連、92年には中国と国交を樹立している。
また、北朝鮮については、大統領に就任した頃から関係改善に乗り出している。88年7月7日には、「民族自尊と繁栄のための大統領特別宣言」(7.7宣言)を発表し、北朝鮮に敵対関係解消を呼びかけた。盧泰愚氏は北朝鮮を「民族共同体」と規定し、翌年の冷戦終結も手伝って、南北対話を加速させていく。
91年9月には国連への南北同時加盟を実現。同年12月には、第5回南北首相会談で、「南北基本合意書」が締結されるに至った。南北基本合意書では、1972年の「7.4南北共同声明」に規定された「祖国平和統一3大原則」(自主、平和、民族大団結)を再確認するとともに、南北和解、南北不可侵、南北交流・協力について全25条にわたって合意がなされている。現在の南北対話の基礎となる事項である。
盧泰愚政権の退陣後、金大中(キム・デジュン)政権や盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の下でも南北関係が一時好転したが、現在まで完全な和解には至っていない。だが、北朝鮮は、今でも72年南北共同声明や91年南北基本合意書の内容を重視していることから、盧泰愚氏は、南北対話の礎を作った大統領であったと言える。
八島 有佑
@yashiima