竹島問題では韓国と足並みをそろえる北朝鮮

 島根県・隠岐の島町の飲食店で出されている商品が、今、韓国と北朝鮮の非難の的となっている。

 隠岐の島町に属する竹島(韓国・北朝鮮側の呼称は独島)を模した「竹島海鮮カレー」という商品で、竹島をかたどったライスに日の丸の旗を立てたものだ。同町内の飲食店で食べることができる。

 竹島カレーは、町長らの発案で、数年前から販売されているものだが、最近になって韓国のメディアが「日本がカレーを使って独島の領有権を主張している」と批判的に取り上げ、北朝鮮もこれに反応したのである。

 竹島は日韓両政府が領有権を主張し合っているところ。北朝鮮は「独島は朝鮮民族固有の領土」と韓国と足並みをそろえている。そのため、竹島問題では、韓国の対日抗議を好意的に扱うことが多い。

対日強硬派・徐敬徳教授のSNSが発端

対日強硬派・徐敬徳教授のSNSが発端

竹島海鮮カレーを批判するSNS投稿 出典 徐敬徳教授公式インスタグラム

対日強硬派・徐敬徳教授のSNSが発端

 最近になって、竹島カレーが話題となったのは、韓国の誠信女子大学の徐敬徳(ソ・ギョンドク)教授によるSNS発信による部分が大きい。徐敬徳氏は10月1日、「こんなことで独島が日本の領土になると思っているのか」と竹島カレーを批判的に紹介。この発言を韓国メディアが取り上げたことで、韓国国内でも話題に上がったのである。

 徐敬徳氏は、これまでも慰安婦問題や徴用工問題などを巡って対日非難を重ねており、同人の発言は、韓国メディアでも度々取り上げられてきた。今年5月にも「東京五輪サイト上の地図に独島が表記されている」と指摘したことで、韓国では騒動となっている。

隠岐の島町が竹島グッズ開発に補助金

隠岐の島町が竹島グッズ開発に補助金

上限20万円で竹島特産品開発を募集している 出典 隠岐の島町の公式サイト

隠岐の島町が竹島グッズ開発に補助金

 また、徐敬徳氏が竹島カレーとともに非難したのは、隠岐の島町が行っている公募である。

 隠岐の島町は、公募で「竹島に関連した特産品を開発した地域企業に経費の2分の1(上限20万円)を補助する」と「竹島グッズ」の開発を促しているのだ。韓国の実効支配で日本から竹島には直接訪問できない中、竹島の存在と領土認識を広めるのが狙いだ。隠岐の島町には、今回話題になった竹島カレー以外には、竹島グッズと呼べるものがほとんどないという。

 徐敬徳氏は、この公募を「日本の国民に独島が自国の領土だという認識を高めるための典型的な小細工戦略」とSNSで批判したのである。

 ちなみに、韓国の鬱陵島(ウルルンド)からは観光遊覧船が出ており、“独島グッズ”も多数販売されている。

北朝鮮「ご飯にして食べてしまうという発想で低劣」

 このような動向に北朝鮮も反応。対外宣伝メディア「わが民族同士」(祖国統一委員会)は10月8日、「竹島カレーなるものを売っている」と非難する論評を掲載した。

 論評は、「最近、島国日本に奇妙な特産品が、新たに出されて見る人をあぜんとさせている」という書き出しから始まり、「(竹島を)ご飯にして食べてしまうという発想で、島国特有の低劣さに驚きを禁じ得ない」など最初から最後まで非難一色。

 さらに、「領土強奪の野望と軍国主義の野心が体質化した島国が生み出した特産」と指摘するなど、軍国主義と結び付けて批判している。これまでも日本政府が、「竹島は日本固有の領土」と主張するたびに非難を寄せていた北朝鮮だが、特定の店で出されている商品に言及したのは異例と言える。

 このように思わぬ形で国内外から注目が集まることになった竹島カレー。その中で、隠岐の島町が、今後どのような広報活動を行うのか注目である。
 

八島 有佑
@yashiima

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