停電がサジェストキーワードに
中国では全土で停電が実施されている。全電力の7割を占める火力発電の一部を停止させたためだ。国内向けには、“環境対策、二酸化炭素排出抑制のため”となっているが、当然ながら中国人は誰も信じていない。しかし、SNSなど監視されて個人特定される環境下では不満を漏らすこともできない。
中国のSNS微博(ウェイボー)で丹東で調べると、サジェストキーワードに「丹東 停電」「丹東 限電」が上位表示される。多く人が検索しているということだ。
さらにサジェストキーワードで表示される丹東 停電で調べると、2017年や2015年の古い停電情報が上位表示される。
個人アカウントで停電について伝える投稿も確認でき、コメントも書き込まれているが、「ははは」や顔スタンプなどのみで中国政府への不満や批判めいたものは確認できない。
丹東に限らず、中国の主要都市名で検索すると、それぞれのサジェストキーワードで停電が出てくる状況になっている。
大丈夫か?今年の暖気供給
大丈夫か?今年の暖気供給
9月26日のあるウェイボー投稿には、「私の祖父母が住む丹東郊外の農村は、停電が3日続いている。午後4時過ぎから10時半まで断続的に停電している。祖父母は高齢者だ。真っ暗な状態でどうすればいいのか?しかも、事前通知もない。停電により祖父母の周辺地域の通信はすべて途絶え、社会から隔絶されている。世捨て人か!」と窮状を訴える投稿が削除されずに残されている。
丹東を含む東北3省は、これから厳しい冬を迎える。例年、11月中旬から温水暖房(暖気)の供給が始まる(翌年の3月中旬まで)。
暖気は石炭を燃やして温水にして各家庭へ供給されている。そのため、暖気制度がある北京から北の地域では、冬季の大気状態が悪いことで知られる。
今年は暖気の供給にも支障が出ると懸念されている。暖気が止まると凍死者に直結する生命の問題に発展しかねないため、多くの住民が、今から心配する状況になっているのだ。
今年上半期オーストラリアからの石炭輸入ゼロ
暖気は公共サービスであるが、費用は住民が1平米単位で4か月分を支払うことで、提供される制度となっている(未払いだと個別に停止される)。
中国SNSでも検索ワードとなっている中国全土の大規模停電の原因は、中国との関係が急速に悪化しているオーストラリアからの石炭が入ってこないことであることを中国人は知っている。
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、中国の石炭輸入先は、1位インドネシア、2位オーストラリア、3位ロシアとなっているが、今年1月~6月の上半期、オーストラリアからの石炭輸入は0トン(前年上半期5588トン)となっている。
この状況を石炭を輸出できる北朝鮮はじっと観察しているだろう。
参考サイト
中国:直近3年間の国別石炭輸入量の変化(JOGMEC)