「韓国人が1番嫌いなのは日本だろ?」中国ネット民の反応

 韓国の国民日報が今年6月、1000人を対象に行った意識調査によると、韓国人が1番嫌いな国は中国。次いで日本、北朝鮮の順番となり、中国が嫌いと答えた人は全体の過半数51.7%に達していたという。

 過去に他社が行った調査でも韓国人が嫌う国のトップ3には、常に中国がランクインしていた。もともと韓国人は嫌中感情が強く、特にここ数年で嫌中派が急増した感がある。それは中国人も薄々とは感じていたようだが、それでもこの結果は衝撃だったようである。決して好かれているとは思わなかったが、

 「まさか、韓国人が1番嫌いなのは日本だろ?」

 と、中国ネットではこのような反応が多く見られた。日本以上に嫌われていようとは…。

 確かに、韓国人が嫌いな国を選ぶなら「間違いなく日本がトップになるだろう」と、それについては、自信を持っていた日本人も多いだけに、逆の意味でショックを受けた者も多いだろう。

中国によるTHAADミサイルへの報復

中国によるTHAADミサイルへの報復

THAADミサイル 出典 The U.S. Army Ralph Scott/Missile Defense Agency/U.S. Department of Defense [Public domain], via Wikimedia Commons

 考えてみれば、韓国人が日本を嫌う根源はたった35年間の植民地支配、それが彼らのプライドを深く傷つけ恨まれているのだから。古代から近世までずっと属国として支配し続けてきた中国を彼らが恨まないわけがない。

 そんな韓国人の鬱屈(うっくつ)した思いに火をつけたのが、2017年の在韓米軍基地への終末高高度防衛(THAAD)ミサイル配備。それに伴う中国の報復措置だろう。

 この時に中国では大規模な韓国製品不買運動が起こり、中国に進出していた多くの韓国系百貨店や量販店が閉店に追い込まれた。また、K-POPや韓流ドラマの公演や放送は中止され、中国人観光客の韓国への渡航も制限された。

朝鮮王が土下座を強いられ続けた屈辱の歴史

朝鮮王が土下座を強いられ続けた屈辱の歴史

移築された独立門(手前が迎恩門柱礎) 出典 문화재청 [Public domain], via Wikimedia Commons

 中国の制裁に韓国政財界は怯えたが、一方で国民の嫌中感情は燃え盛った。そうなると、中国が過去にやってきた様々な仕打ちが掘り起こされ、怒りの炎に油を注ぎ続ける。

 たとえば、ソウルにある独立門。多くの韓国人はこれを日本からの独立を記念して造られたものだと思い込んでいる。が、それは違う。この門が完成したのは、日韓併合よりも以前の1897年のこと。調べたらすぐにわかるのだが、これまで知ろうともしなかったのだ。嫌中感情が高まってくると、そういった過去の屈辱の歴史にも目が向けられるようになる。

 独立門の近くにある門柱礎は、かつて朝鮮国王が、土下座して中国からの使者を迎えたという迎恩門があった場所だが、最近はそれについて知る者も増えてきた。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権は、中国を批判することなく、また、「NO JAPAN」のように大規模な組織的キャンペーンが行われることもない。そのため、韓国人の嫌中感情が日本で報道されることはないのだが…、韓国人の反中感情は、反日以上に根深いものがありそうだ。

この日中韓の状況、まだマシなほうなのか?

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近隣国同士は仲が良くないが世界の普通?

この日中韓の状況、まだマシなほうなのか?

 また、韓国人の嫌中に困惑している中国人にも実は嫌韓派が多いという。中国で同様の意識調査を行うと、嫌いな国のトップ3には、必ず韓国が出てくるという。中国外交部(外務省相当)が2017年に実施した「中国人の韓国に対する認識調査」では、特に若い世代に嫌韓感情が強く「韓国は信用できない」と回答した者が全体の77.4%にまで達していた

 結局、中韓どちらも相手を信用せず嫌っていたということ。日本もまた、どちらの国でも嫌いな国の1位や2位には必ず名が出てくる。日本で同様の調査を行えば、韓国や中国の名がトップ3になるのは確実。しかし、それは東アジアに限ったことでもない。世界中どこでも近隣国同士は、あまり仲が良くないという。日中韓の隣国への嫌悪感も「普通のこと」と見ていいのだろうか。まあ、国境で戦闘が起こっている国々も多いだけに、それと比べればマシなのか。

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、近著『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社、2021年)。

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