訪朝者の9割以上が中国経由

訪朝者の9割以上が中国経由

世界中の多くの訪朝者が利用する北京発着の高麗航空の定期便

 この夏、北朝鮮旅行の代理店へツアー再開についての問い合わせが増えているという。長引くコロナ禍のストレスなのか、海外旅行へ行きたくてウズウズしている人が増えているのだろう。

 北朝鮮へ渡航する人の9割以上は中国を経由する。そのため、日本や北朝鮮の状況に加えて経由地である中国の状況も合わせて考慮する必要がある。その中国では、入国者に一律21日間の強制隔離を実施している。

 現在、中国国内の移動は、中国政府が発行する新型コロナワクチン(中国製のみ)の接種完了を示す接種証明アプリを提示すれば、省を越えて移動することもできる状況だ。

 しかし、入国者については、指定ホテルでの強制隔離が厳格に実施されている。訪朝者が経由することが多い大連では、春以降に陽性者が確認されたことで、さらに7日間長い28日間と、およそ1か月間も強制隔離されることになる(費用は全額隔離者負担)。

ロシアからの空路もあるが代理店は後ろ向き?

 北朝鮮へ入国する手段は、空路と陸路がある。空路は、定期便の航空機が飛ぶ北京と瀋陽。チャーター便扱いであるが通年で飛んでいる上海。陸路は、北京・丹東からの国際列車。他にも日本人の利用は少ないが、琿春から自動車で入国するルートもある。

 中国以外にもロシアのウラジオストクから週2便の定期便が運行されている。しかし、定期便にもかかわらず頻繁に運休したり、ロシア側の不透明な状況が多いことから、日本や中国などの各代理店は、トラブル回避のため手配には後ろの向きのようだ。

 ロシアへの国際列車での出国も始まっているが、非常に少ないので参考程度の情報で(ロシアからの国際列車での入国は事実上できない)。

中国が必ず入国させる理由

 また、日本人が忘れがちな点がある。中国はトランジット利用者も必ず入国しなければいけない点だ。

 日本国籍者は、中国では15日間までビザが免除されているので、そのまま入国してちょっと空港を楽しんで、そのまま経由する人が多い。しかし、ビザが免除されていない国籍の人は、例え経由であっても必要なビザを取得しなければならない。

 以前、広州空港が入国なしでのトランジットを実施していたが、試験だったのか、その後はなくなり、一度入国してから再出国しなければならない。

 仮に北朝鮮が入国時の隔離がなくなったとしても、中国が隔離処置を継続させていれば、中国で3、4週間も隔離されることになる。つまり、今後の訪朝は中国次第となるわけだ。

 しかも、現在、中国便は必要なビザ(就労ビザや出張ビザ+招聘状)と決まった保険額の海外旅行保険へ加入していないと搭乗することすらできない(ビザ免除は停止中)。

 世界でハブ空港と呼ばれる多くの国際空港が入国なしのトランジット利用ができるにもかかわらず、中国が全外国人を必ず入国させるのは、パスポートや顔、指紋情報を取得することが目的だと言われている

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