金正恩総書記が食糧危機を認める

金正恩総書記が食糧危機を認める

食糧危機に直面していることを認めた金正恩総書記。2021年6月19日付の労働新聞より(提供 コリアメディア)

 香港商報は外電を引用して19日、北朝鮮経済の現状を伝えた。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は深刻な食糧危機に直面していることを初めて認めた。米CNNによると、北朝鮮農業は昨年の自然災害から回復していない。しかも新型コロナウイルスのよる長引く国境封鎖の影響で、海外から食糧を輸入することも困難な状況下にある。

 首都平壌では、コメや燃料の価格は比較的に安定しているものの、砂糖や大豆油、小麦粉など輸入に依存する調味料や食糧などの価格が徐々に上昇し、有名な統一市場で売られているジャガイモ価格も3倍になるなど、一部の主要消費財が高騰し始めている。

 また、非主要品である紅茶は1袋70ドル、コーヒーは1袋100ドルまで値上がりしている(注 量不明)と地元平壌住民が明らかにしている。北朝鮮のニュースでは、バナナ1キロ・グラムが45ドルと報じるなど食料品全般が高騰している。

 金正恩氏は、食糧危機の深刻さには言及しなかった。しかし、国際連合食糧農業機関(FAO)の試算によると、北朝鮮は今年約86万トンの食糧が不足すると予想されている。86万トンは同国の2か月分以上に相当する。

北朝鮮人はコーヒー飲むの?

 香港商報は、1952年に中国語(広東語)初の金融情報を伝える新聞として創刊。現在、香港の新聞で唯一中国本土での発売が認められている新聞とされる。しかし、中国政府の統制下にあり、中国国外では、同報は事実上の中国官製メディアと認識されている。

 この記事へ書き込まれたコメントには、「地獄の国だ」「また食糧不足?」「年々悪くなるね」「(北)朝鮮には生産計画はないの?」「ずっと隣国が貢ぎ続けてきたのに」という批判色が強いものの他にも、「制裁するアメリカが悪い」「朝鮮は雨が少ないと聞いたけどどうなの?」「バナナやコーヒーは作れない?」「そもそも一般の朝鮮人はコーヒー飲むの?」「CNNは嘘ばっかりだから信用できない」などが確認できる。

バナナを見たことない北朝鮮人も

 報じた内容では、物価高騰が最近始まったかのような書き方をしているが、輸入に依存する調味料や油、食糧の暴騰は1年以上前から始まり、昨年夏頃から断続的に伝えられてきた。食糧や物資不足が極限の状態に達したため、本来は優遇されているはずの外交官や国際機関の駐在員まで今年の2、3月に大量に出国したことは記憶に新しいところだ。

 コメントにあるバナナとコーヒーは、北朝鮮では生産されていない。バナナを含め多くの果物が輸入品のため、庶民には縁がない超高級品となる

 今年3月に北朝鮮駐在体験をまとめた著書を発売した元駐北朝鮮ドイツ大使が、バナナを見たことない北朝鮮人に遭遇したエピソードをインタビュー記事で語っている(バナナを見たことがない人に出会った 北朝鮮に赴任した大使が見た暮らしの現実)。

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