香港・台湾ではコミック全巻発売されている
香港・台湾ではコミック全巻発売されている
ベルセルク三浦建太郎さん死去を韓国・中国からも惜しむ声(1/2)の続き。
ベルセルクの中国大陸名は、剣風伝奇と呼ばれる。これは、日本の初代アニメ(第1作)が「剣風伝奇ベルセルク」だったためだ。アニメ版は日本テレビ系列で放送されたので残虐な描写は少なく、また、作品の初期であり、ベルセルクの重要な転換期である「蝕」で終わる。
中国政府はベルセルクのコミック版は発売禁止にしたものの、残虐な描写が少ないアニメ版第1作は海賊版であることは問題にせず黙認したと思われる。
ちなみに、香港や台湾ではコミック版が最新刊まで発売されていて、それぞれタイトルは、烙印戦士、烙印勇士となっている。中国人でもマニアの一部は、香港版を取り寄せて読んでいるようだ。
本当に未完で終わるとは…
本当に未完で終わるとは…
中国政府は、ベルセルクを建前上、発売禁止にしていることもあり、2012年の劇場版「ベルセルク 黄金時代篇」3部作は、中国大陸では上映されていない。しかし、動画共有サイトで有料閲覧はできる。
「中国へ拠点を移すときに日本で読んでいた連載漫画はベルセルクを除きすべて雑誌版で読むのを止めました。もちろんコミック版は全巻を自宅にあります。個人で購入して中国へ持ち込む分には税関で見つかっても没収されません。中国ビジネスで面倒なことがあったときにベルセルクを読んで非現実的なファンタジー世界に浸って乗り越えさせてもらってきました。本当に残念です。1年ぶりに帰国しても、1年前からの続きがタイムリーに『ヤングアニマル』(ベルセルクが連載されていた白泉社の連載青年漫画雑誌)で読める(長期休載が多かったので)がファンの間では笑い話であり、ベルセルクは未完で終わるのではないかもよく冗談で言われてました。それがまさか現実になってしまうとは…。心からご冥福をお祈りします」(天津・経営者T氏)
不幸でもったいない中国人
不幸でもったいない中国人
もっともベルセルクは小学生の親からすれば子どもには見せたくない作品であることは間違いない。日本はまだまだ緩いが、国が閲覧を制限する制度を作って、適切に運用すればよいわけだ。全禁止はいかにも全体主義の中国らしい政策と言える。
前半で紹介した韓国ネイバーブログの追悼文、
日本を除く最も多くファン層がいる韓国
韓国人ファンが中国の状況をどこまで知っているのか定かではないが、SNSへコメントしている多くの中国人は、主にアニメ第1部しかベルセルクに接していない可能性が高い。
ベルセルクが世界中のファンを熱狂させて高い評価を得ていくのは、その後のコミック版が中心となっていることから、その世界を堪能することができなかった中国人は、ベルセルクファンから見ると、「ちょっと不幸でもったいない」と前出のTさんは話す。