1か月滞在できる渡江証とは?
1か月滞在できる渡江証とは?
中国・吉林省延辺朝鮮族自治州は、北朝鮮人労働者2万人を雇用する枠を設定し北朝鮮側と同意したと自治州関係者が明らかにした。
具体的な時期など詳細はこれから決めるとのことだが、同意した2万人全員が女性とのことで、主に延吉や図們の工場などで従事するとみられる。
中国やロシアは、北朝鮮人労働者を2019年12月末までに全員帰還させることを求める国連制裁(国際連合安全保障理事会決議第2397号)履行後も人数を減らしながら北朝鮮人労働者を継続的に滞在させていることが確認されている。
中国は管理者を除き全員女性で工場等での作業労働者として従事し、ロシアは(北朝鮮レストランを除き)全員男性で工事現場などの労働へ従事するなど中ロで求められる労働人材が異なるため、中国=女性、ロシア=男性となっている。
現在、北朝鮮人へ就労ビザの新規発給は国連制裁で禁止されている。そのため、中国は国連制裁に抵触しないように就労ビザ以外のビザや名目で入国、滞在させると考えられる。
「北朝鮮人労働者へはビザではなく『渡江証』で入国、滞在させていると思います。国境を接する2か国での取り決めで労働者ではないので国連制裁にも抵触しません」(延吉の朝鮮族実業家)
渡江証は、中国では 中朝辺境地区出入境通行証。北朝鮮では朝鮮民主主義人民共和国住民国境通行証と呼ばれるもので、滞在できるのは原則30日間となる。中国のビザだと観光(L)ビザのシングルと同等のものだ。当然ながら原則、労働は禁じられている。
中朝間には、他にも羅先住民は吉林省限定でビザなし往来ができる特例など両国以外には不明瞭な2か国での取り決めも少なくない。中国は周辺国からは分かりづらいこれらの特例を駆使して、北朝鮮人労働者を合法的に受け入れる動きを加速させている可能性がある。