ワクチン接種希望7割。接種拒否2割
ワクチン接種希望7割。接種拒否2割
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は3月23日、新型コロナウイルスのワクチンを接種した。韓国・聯合ニュースによると、文大統領がワクチンを接種した理由は6月に開催される主要7か国首脳会議(G7)出席のためだとされている。
韓国の世論調査では、今回の文大統領のように新型コロナワクチンを接種したいと答えた国民は対象の約7割だった。その一方、ワクチン接種をしないと答えている国民は19%となっている。韓国政府としては、国民のワクチン接種率を少しでも上げたいと考えているところだろう。そこで、今回の文大統領のワクチン接種は、韓国全体のワクチン接種にどのような影響を与えるのかについて考察していく。
新型コロナワクチンの副反応への恐怖
韓国は2020年の前半から新型コロナウイルスの感染者が増えてきている。ちなみに、4月1日時点での韓国国内の新型コロナウイルス新規感染者数は551人となっている。これは前日と比べて45人増であり、500人を越えるのは2日連続だという。
ところで現在のことを考えるのはそれで重要だが、コロナ後のことも考えなければならない。コロナ後を考えるにあたって、キーポイントとなるのが「ワクチン」だ。
韓国国内では今年の2月26日から新型コロナワクチンの接種が始まっている。聯合ニュースによると、韓国国民に対して「ワクチンを接種したいか」について聞いたところ、回答者の約7割が「接種したい」と回答した。
では韓国政府はこの数字をどう見ているのか。韓国政府としては、集団免疫形成のために抗体保有率を約3年半かけて7割にしたいとしており、まだ目標には達していないところだ。
韓国国民がワクチンを受けたくない理由は、「副反応(副作用)が心配なこと」が大きな理由として挙げられている。新型コロナそのものもよくわからない病原体であり、そのワクチンについて「怖い」と拒否感を示すのも理解できる。今回の調査は、その不安が現れた調査となった。
米中摩擦が貿易からワクチンへ拡大
新型コロナウイルスの発生源とされている中国は、ワクチン戦争を優位に進めている。ワクチンを求める国々に対して営業活動を展開。何とかして中国の存在感を示したい意向が見え隠れする。
しかし、米国政府はこの中国の動きについて警戒感を示す。中国と米国は、「米中貿易摩擦」と呼ばれるほどの貿易戦争関係となり、前米国大統領であるドナルド・トランプ氏が中国に対して強行的なスタンスをとっていたのは記憶に新しい。トランプ氏から政権を受け継いだジョー・バイデン大統領も中国に厳しい姿勢で臨むため、米中関係の摩擦が貿易からワクチンにまで拡大している現状もある。
どう解決する副反応問題?
どう解決する副反応問題?
実際、文大統領が率先して新型コロナワクチンを接種したのは評価できる。韓国国内の感染状況を見ながら、大統領自らワクチンを打つことで、自国の国民がワクチンに対して関心を持つように努力している姿勢がうかがえる。
解決するべきはワクチンの副反応だ。副反応は「どうしても起こる」として説明して国民に安心を呼びかけるのか。それとも「副反応はあってはならない」としてワクチンの基準を厳しくするのか。その判断はすべて大統領や政府にかかっている。
新型コロナウイルスは発生が確認されてから丸1年が経った。いつ終わるか分からないこの生活は、ワクチンによってどのように変わるのだろうか。
小林 英介(こばやし えいすけ)
ライター。Webメディアで便利グッズから政治に至るまで幅広く執筆している。現在は「ピコピコカルチャージャパン」で連載中。過去の執筆媒体は「公務員総研」「まいどなニュース」など。
@chimata_score8i