25日に取締役を正式に退任したばかりだった

25日に取締役を正式に退任したばかりだった

日本のスーパーでも見かけるようになった辛ラーメンブラック

 27日、辛ラーメンの生みの親である辛春浩(シン・チュンホ)氏が死去した。辛氏は、製造会社である農心よりも辛ラーメンのほうが有名なくらい商品名をブランド化させた。

 1930年生まれの辛春浩氏は、先月、高齢を理由に3月中の取締役退任を発表し、25日の株主総会で正式に取締役から退任していた。

 辛春浩氏の死去を伝えた共同通信の記事では、辛氏が即席麺を開発したかのように受け取れる記載があるためにヤフーニュースのコメント欄には批判が書き込まれている。

 辛春浩氏は、昨年1月に死去したロッテグループ創業者・辛格浩(シン・ギョクホ、重光武雄)氏の実弟で、現在の辛ラーメンは、世界で初めて即席麺を開発した日清食品(1958年・チキンラーメン)の技術の恩恵を受けて開発されたものだ(1970年・インスタントジャージャー麺)。

 農心の本社サイトなどを見ても、さすがに農心が即席麺を生み出したとの主張は確認できない。

実兄であるロッテ辛格浩(重光武雄)氏とは裁判沙汰

 辛ラーメンは、日本以外では、日清食品や東洋水産など日本勢をしのぐ勢いでコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに陳列されるメジャーブランドの地位を確立している。どこか、サムスンのスマートフォン「ギャラクシー」に類似した世界で日本だけがマイナーな逆ガラパゴス現象を感じることができる。

 辛春浩氏が辛格浩氏の実弟であることは知られているが、実は、5人兄弟で全員が起業家や経営者になっている。しかも、3男の辛善浩(重光宣浩)日本サンサス社長を除く兄弟3人と辛格浩氏は訴訟になっている。辛春浩氏も辛格浩氏と1978年に社名を農心へ変更したころから絶縁状態だったとみられる。

 日本でワイドショーを賑わせた辛格浩氏の実子2人によるロッテの経営権を巡る兄弟での骨肉の争いも記憶に新しいところだ。

辛ラーメンと中国の2つに依存

 辛ラーメン1ブランドへの依存が強い農心は、今後、第2の第3の辛ラーメンを確立していけるかが課題となるだろう。また、中国に生産工場を持ち、かつ輸出もするなど中国市場への依存も高い。

 中国が政治的な理由で、現在、韓国への団体旅行やK-POP、映画などを対象に続けている禁韓令に辛ラーメンを追加するリスクは容易に想像できる。

 辛ラーメンが中国で存在感を増せば増すほど、中国は台湾パイナップルやオーストラリアの牛肉、フィリピンバナナなどのように理不尽な理由を挙げて突如、禁輸や発売禁止となる事態も現実味を帯びてくるのだ。

 辛春浩氏から経営を引き継いだ辛東原(シン・ドンウォン)氏の手腕に期待されるところか。

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