米で宣伝機関認定を受ける本丸CCTV登場
米で宣伝機関認定を受ける本丸CCTV登場
3月19日に北朝鮮が発表したマレーシアとの国交断絶を受けて、マレーシア・クアラルンプールの北朝鮮大使館関係者は、マレーシア当局からの48時間以内の出国命令を受け、21日午後4時10分のフライトで中国上海へ飛び立った。
この件を中国メディアは大きく報じ、中国のSNSには、日頃の香港などの半官製アカウントに加えて、環球時報や中国中央テレビ(CCTV)などの発信も確認できる。CCTVは国営テレビなので、国営の新華社通信と並び本丸の1つとされる。
これらは、中国共産党の機関紙である人民日報、環球時報などと合わせて米国では、メディアではなく、いずれも外国の宣伝機関認定を受けている。
国内の対米感情を悪化させたい中国政府
その本丸の1つであるCCTVも登場させて取り上げるほど、北朝鮮とマレーシアの断交ニュースは重要なのであろうか。
中国政府が大きく取り上げた理由は、国内の対米感情をあおりたい意図が見え隠れする。
「今回の北朝鮮の断交決断は、黒幕であるアメリカに果敢に立ち向かうものである。マレーシアはアメリカの犬になりさがった」とまで直接的に言及した官製メディアは確認できないが、対米感情を悪化させるために北朝鮮を利用しているのは間違いない。
CCTVや環球時報などの記事には、多くのコメントが書き込まれている。しかし、記事が発信された直後に確認すると、「コメントは表示できない」とコメント欄はホワイトアウトしていた。偶然かもしれないが、複数の官製メディア投稿共通で確認できた。
現在は、コメントが表示されているが、ホワイトアウトさせていた間に整理やNGワードなどを設定したのかもしれない。
実は金正男氏殺害事件後も国交を維持していた
現在、表示されているコメントを見ると、やはりと言うべきか米国批判が目立ち、北朝鮮の決断を称賛するものやマレーシアを対米追従勢力とレッテル貼りした批判もある。
中には、「マレーシアと北朝鮮は外交活動をしていたの?」というコメントもある。
マレーシアは、2017年2月の金正男氏殺害事件後、北朝鮮との関係が悪化し、断交かとも日本では報じられたが、その後、世界最高齢のトップとして首相へ返り咲いたマハティール首相が関係改善と大使館再開を明言していた。
しかし、実際は外交官を撤収させていた平壌のマレーシア大使館は再開されないまま、国交断絶となり、そのままマレーシア大使館は閉鎖となった。
一方、クアラルンプールの北朝鮮大使館は、金正男氏殺害事件後、当時の姜哲(カン・チョル)大使に対して、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましくない人物)」で国外退去にしたことくらいまで、日本で報じられていたが、今回、金宇宋という臨時大使がいたことがわかり、大使館として機能を再開させていたようだ。