中国SNSでバズった映画みたいなロシア人の動画
Russian Diplomats Push Hand Car from North Korea to Get Home
まるで映画の1シーンのような映像が中国のSNSで話題となっている。動画は北朝鮮・平壌のロシア外交官一家8人で単線の線路を手押しのトロッコで越境しているとされる映像だ。注目された理由は、どこか楽しそうに見えることもありそうだ。
ソースは、ロシア外務省のチャットアプリ・Telegram(テレグラム)公式アカウントで帰国映像を伝えたものだ。
テレグラムに公式アカウントと思うかもしれないが、テレグラムの開発者はロシア人なので納得できる。テレグラムは、暗号化でき、一定の時間で消える機能など秘匿性の高さから、香港で今も行われている民主化デモの参加者たちが連絡手段として用いていることで知られる。
つまり、暗号化できるテレグラムは、WeChatやLINEと比べ中国政府が解析するまでの時間稼ぎができるということを意味している。
32時間の国内列車移動に中国人もビックリ
32時間の国内列車移動に中国人もビックリ
中国の微博(ウェイボー)上では、「北朝鮮の防疫は徹底している」「寒い中大変」「身体が鍛えられそう」「ロ朝国境が接していることを今知った」などの多数のコメントが書き込まれている。案の定、北朝鮮やロシア、もちろん中国政府への批判的なコメントは“整理されて”、表示されていない。
中でも多かったのは、平壌から国内列車で32時間かけて移動したことへのツッコミで、「32時間って何?」「(北)朝鮮はそんなに広いの?」「朝鮮の鉄道は牛車?」「平壌からロシア国境まで何キロあるんだ?」など32時間に驚いたというコメントが確認できる。
この国内列車32時間は大げさではない。平壌駅発、羅先経由、豆満江から出国しロシアへ向かう国際列車は、新型コロナウイルス蔓延前まで月3本運行されており、豆満江駅発は、月4本運行されていた。
平時でも28時間かかり日本人は乗車拒否される
現在、国際列車は運行を停止しているが、平壌から羅先までの国内列車は動いているとみられ、この路線は、平時でも元々28時間ほどかかるため、日本人が乗車を希望しても断られている(同行するガイドの負担が大きいとの理由で)。
乗車時間32時間なら平時よりは遅れているが、北朝鮮からすると大幅に遅れたとは言えないくらいだろう。
8人は下車後、バスへ乗り換えて2時間とあるので、羅先駅よりも手前で下車した可能性がある。
豆満江を渡る1kmの線路を手押しトロッコ
手押しのトロッコの映像は、豆満江駅からロシア・ハサン駅までの線路とみられるが、両駅の距離はおよそ5キロ・メートル。丹東-新義州と異なり、しばらく豆満江と並走してから川を渡りロシアへ入る。
ロシア外務省のテレグラム投稿は線路1キロを押したあるので、豆満江を渡る手前からトロッコを動かしたようだ。
ウェイボーのコメントで、「なぜ丹東へ来なかったのか?」とあるが、理由は簡単だ。中国へ入国すれば2週間以上の隔離が待っているからだ。
ロシアの外交官一家8人は、ロシアへ帰国した直後にバスでウラジオストクへ向かい空路モスクワへ戻ったようだ。確かに映画のようではある。