ミャンマーからの違法帰国者やミャンマー人からクラスター感染
ミャンマーからの違法帰国者やミャンマー人からクラスター感染
新型コロナウイルスの国内感染が抑えられていたタイだったが、2020年12月ごろ、ミャンマーからの不法入国者を感染源とする新規国内感染が発覚した。
ミャンマー領土内で就労していたタイ人女性が違法に越境してタイに帰国し、10人近くがウイルス感染していることが分かったことを皮切りに、バンコク郊外の鮮魚市場において不法就労者を中心としたミャンマー人グループから100人超のクラスター感染があり、バンコク市内にも感染者が飛び火していた。
これを受け、バンコク都は独自に飲食店の夜間営業と、終日アルコール販売の禁止を決定。ただし、日中の営業は許可し、飲食店は21時までしか営業できなくなった。2月に入り、新規感染者も落ち着いてきたこともあり、バンコク都は夜間営業を23時まで延長。しかし、引き続きアルコール販売の禁止は続いている状態だ。
急速に普及したデリバリーアプリ
夜間営業の禁止は、2020年4月にタイ政府が実施した夜間外出禁止令以来であり、非常事態宣言が発出された同年3月26日から4月末、居酒屋などのアルコール販売をともなう飲食店は、6月まで店内サービスが禁止されていた。
現地報道によれば、営業停止期間中も従業員に給与を支払ってきた飲食店が大半で、その際にこれまで貯めてきた資産をだいぶ使ってしまった。そのため、今後、飲食店の店内サービスが全面的に禁止される事態となれば、倒産するしかない飲食店が多数に上ると考えられるという。
現在は、店内サービスは23時まで可能で、またそれ以降もデリバリーやテイクアウトに関しては営業が可能だ。とは言え、店自体が早めに閉まってしまうので、多くの人々は飲食店に足をあまり運ばなくなっている。それらの影響もあり、2020年になって急速に利用者が増えた、スマートフォンから注文ができるデリバリーアプリの重要性がさらに高まってきている。
バンコク住民必須アプリへ成長
2020年の店内サービス禁止期間、デリバリーのみになったことで、売り上げ減とする店が多かったものの、飲食店によっては平常時よりも売り上げが伸びたというケースもある。成功例の多くは、デリバリーアプリのサービス提供者側としての関わり方に成功したケースとみられる。
デリバリーアプリは、注文につき契約に基づいた割合で利益を収めなければならない。それを支払うことで、売り上げが減っているケースと、利益率に影響が出ていないケースがあるのだ。
いずれにしても利用者は非常に多く、これまで対象外だったエリアや所得層の人々をも顧客に引き込むことができる。特にバンコクをはじめとした大都市で生活するには必須アプリと言えるまでに成長した。中でも、和食やイタリアンなどはタイ人の口にも合うことで人気が高い。
弁当スタイルから焼肉まで充実してきた韓国料理デリバリー
弁当スタイルから焼肉まで充実してきた韓国料理デリバリー
非常事態宣言によりデリバリーが主流になった当初は、その数で圧倒的不利にあった韓国料理も、今や参入する飲食店が多い。
韓国料理は個人移住者が経営している店が多いこともあって、当初はデリバリーアプリ業界への参入が鈍い状態だったが、今は数社あるアプリで充実したラインナップが見られる。顧客からの評価も和食並みに高い。
また、和食によく見られる弁当のスタイルもあれば、一般的なタイ人に認知される韓国焼肉までデリバリー可能で、そのバリエーションの幅広さは目を見張るものがある。
流動的な状況が続き、かつ強硬策をすぐに実施するタイ。今後、再び飲食店の営業停止が言い渡されるかも分からない今、保険として、加入が欠かせないのがデリバリーアプリになっている。
高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)など。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)