時速15kmでの低速通過なので手ブレせずに撮影できる
中朝貿易0.5%からの復活を生ウォッチする丹東リバービューホテルの続き。
竣工が1943年の中朝友誼橋は鉄道用の単線と自動車用の道路1本で構成されている。有効幅員には人間が歩ける歩道は設置されておらず国際列車とトラックなどの車両はギリギリですれ違う。
道路は1本のため通過する車両は2時間に1回、北朝鮮から中国、中国から北朝鮮と方向を変えながら往来している。国際列車は午前10時に丹東駅を出発し時速15キロメートルの速度制限があるためゆっくりと鴨緑江を渡っていく。
国際列車は速度が遅いのである程度の明るさがあれば被写体が手ブレすることなくきれいに撮影することができる。
また、夏季以外は暗くなり確認が難しいが午後4時半ごろに中国へ戻ってくる国際列車が通過する。北朝鮮からの国際列車はホテルの客室からではなく断橋や外で眺めてみるといいかもしれない。
ちなみに一般的な中国のホテルのチェックアウトは午後12時なので、昼までゆっくりと中朝国境を往来する車両をウォッチできる。
しばしば公安が踏み込むその理由
中朝友誼橋がよく観察できる「中聯ホテル」の予約は、日本人の利用者も多いホテル予約サイト「エクスペリア」や「ホテルズドットコム」などからも予約できる。
注意点としては、中聯ホテルは施設は古く安くもないが、その抜群のロケーションから日本を中心に各国マスコミの取材に利用されることが多い。日本のテレビ局でも同ホテルの客室から中朝友誼橋や断橋、対岸の北朝鮮側を映しながら中継されることがある。
しかし、当然ながら中国は中聯ホテルが海外のマスコミ中継に利用されることを嫌がり警戒している。マスコミ側も中国人スタッフの名前やまったく無関係な中国人名で予約をするなど策を講じているが、なぜか見破られてしまう。ここが中国の恐ろしい点だが、どう連携されているのか公安が踏み込んでくることがしばしば起こる。
断橋と中朝友誼橋が左右逆の新義州から丹東を眺めた360°写真。真正面を拡大すると中聯ホテルが確認できる
中国のよいホテルとは?
日本人は中国であっても5つ星とか国際展開しているホテルグループは安全と思っている人が多いかもしれない。しかし、現実は真逆で5つ星ホテルほど公安へよりしっかりと協力しないと存続していけない。公安から要請されたら聞き返すこともなくすべての顧客情報やマスタキーを速やかに渡すのが義務であり、これが中国政府にとって「よいホテル」となる。
中聯ホテルは中国政府や丹東市、公安などから様々な要請を受ける代表的なホテルで、たとえば、北朝鮮から金正恩委員長が特別列車で丹東へやってくるときはその数日前から全予約が強制キャンセルされ、新規予約は一切受け付けないといった具合だ。
中聯の半額でリバービューを満喫できるホテル
実は、中聯ホテルよりも安くてより北朝鮮に近くリバービューが楽しめるホテルもあるので最後に紹介する。
「丹東国門青雲ホテル」(以前は虎躍快捷ホテル。グーグルマップの360°写真に写っているのは2017年でホテル名変更前)は、中聯ホテルのすぐ目の前にある。
丹東国門青雲ホテルは日本だと格安チェーンホテルのような2つ星ホテルになるが、リバービュールームが安く冬季価格で1泊税込み4500円くらいで宿泊できる。部屋によっては新鴨緑江大橋も望むことができると中聯ホテルよりも広々と鴨緑江を眺めることができる。
丹東国門青雲ホテルは、さすがに大手ホテル予約サイトにはないが、中国の「トリップドットコム」から予約できる。
中国では5つ星ホテルよりも2つ星や1つ星ホテルのほうがむしろ安全だと言う中国在住日本人も少なくない。外国人が宿泊できるホテルは星問わずパスポート提出が義務付けられている(ホテルが代行で管轄公安へ登録する)。