まだ未完成な中国製ワクチン

まだ未完成な中国製ワクチン

SNS上では残っているが官製メディアには北朝鮮ワクチン提供疑惑の記事を見つけることができない 出典『環球時報

まだ未完成な中国製ワクチン

 米シンクタンク「センター・フォー・ナショナル・インタレスト」の北朝鮮専門家ハリー・カジアニス氏が1日、中国政府が開発中の新型コロナウイルスワクチンを北朝鮮へ提供し、金正恩委員長や家族、朝鮮労働党幹部らがすでに接種済みであると発言したことを韓国メディアや「ロイター通信」などが報じている。

 ハリー・カジアニス氏は日本人の情報筋2人から得た情報と語っている。

 現在、世界中で開発競争が進む新型コロナウイルスワクチンは2日にもイギリス政府が米「ファイザー」のワクチンを承認し7日から接種開始とも報じられている。中国もこの莫大なワクチン利権と外交手段に利用しようとワクチン開発を国を挙げて進めており、中国製薬大手の「シノバック・バイオテック(科興控股生物技術)」や国営の「中国医薬集団(シノファーム)」など3社が開発を進めている。このうちシノファームは、先月末に最終承認申請を出したと報じられている。

不完全なワクチンでも世界最速で提供したい理由

 しかし、驚くことにシノファームはワクチンの有効性の証明も含め臨床結果を一切公開しておらず「重大な副反応は確認されていない」との説明を繰り返すのみなど安全性には疑問符がつかざるをえない

 そんな疑惑だらけで不完全なものであっても中国がワクチンを世界最速で提供することは大きな意味を持つ。中国はアメリカのみならずオーストラリア、インドなど世界の主要国を敵に回しつつある状況下で国際的に優位な立場を立つための政治ツールに利用しようとしているからだ。

 緊急時とは言え、人命軽視で非常に利己的な政治目的で開発された中国製ワクチンの副反応は近いうちに明らかになると思われ、仮に副反応が起きたとしても中国政府は、使用国のワクチン管理環境が悪いなどの理由を挙げると予想される。

聞いたことないと中国政府否定

 その疑惑のワクチンが北朝鮮の最高指導者と一部の幹部たちへ提供されたという報道だ。

 この報道に対し、1日、ロイター通信の記者から質問を受けた中国外務省の華春瑩報道官は、いつものポーカーフェイスで「聞いたことない」と一蹴している。加えて、ワクチンはまだ第3臨床実験段階であり未承認である。ワクチンが完成し承認され世界で広く使用されるものとなれば中国は公言した通り発展途上国へも積極的に提供することを実行するとも強調している。

 もし、中国が未承認で中国国内にもまったく提供されていないワクチンを国内よりも先に北朝鮮へ提供したことが事実であれば、中国人は快く思わないだろう。

(続く)

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