大和堆へ北朝鮮漁船に代わり中国漁船
大和堆へ北朝鮮漁船に代わり中国漁船
週刊誌のような過激な見出しで知られる『夕刊フジ』が10月21日の一面で日本海沖の大和堆の実態について大きく報じた。
今年は大和堆付近で違法操業する中国漁船が大幅に増えており第2の尖閣かという衝撃的な内容だ。
近年、大和堆は北朝鮮漁船の違法操業が問題となっている。大和堆は「海のいけす」とも呼ばれ好漁場として知られる。多くの北朝鮮の漁船は小型の木造船で、故障して秋田や新潟などに漂流することも問題になっていた。
夕刊フジの記事によれば、昨年、水産庁は4007隻の北朝鮮漁船へ退去警告を行っている。違法操業する中国漁船は昨年、1115隻だったのが、今年9月30日時点で2586隻と大幅に増えている。しかも、この2か月で激増していると伝える。
北朝鮮は、大和堆でホタルイカやハタハタ漁を行っている。昨年1月発売の『画報朝鮮』には水揚げされた大量のハタハタを背景に満足そうな笑顔を浮かべる金正恩委員長をコメントともに掲載している。国を上げて漁獲高向上を推し進めたとされる。
北朝鮮漁船には鮮度を保つための冷凍設備がないため日干しにして持ち帰り缶詰や乾物などへ加工して食べられていると考えられる。
魚を食べる習慣がなかった中国で消費が20年で2倍強
では、中国はどうであろうか。
そもそも中国には歴史的に水産物を定期的に食べる食文化はない。地理的に大陸のため海水魚が物理的に少なく魚といえば淡水魚が主流で、海水魚を日常的に食する地域は限られている。
例外的に日本の影響を受けた遼寧省大連、旧満州国である現在の東北3省は現在でも鮮魚を生に近い状態で食べる習慣が残されており、港湾都市として発展した青島や天津などの山東半島、上海、アモイなど福建、広州がある広東、ハノイに近い海南島などでは魚介類の消費量が中国国内では多い。
「中国統計年報」によれば、中国の陸地での養殖も含めた水産物生産量は1990年には世界1になっている。加えて、1人あたりの水産物消費量は1995年4.84キログラム、2001年6.45キログラム、2015年は11.2キログラムと20年で2倍以上に増えている。
海洋汚染のため沿岸漁業ができず沖合へ
逆に日本は、食用魚介類の1人あたりの年間消費量は2001年の40.2キログラムをピークに減少しており、2018年には24.6キログラムと昭和30年代の水準まで減少している(水産物消費の状況:水産庁)
中国の数字は全人口で割った数字なので、地域格差が大きく水産物の豊富で所得も高い沿岸都市と内陸部の農村では水産物の消費量は20倍以上の差があるとされる(日中で定義が異なっている可能性があるの参考程度で)。
しかも中国の近海は深刻な海洋汚染の影響でまとな沿岸漁業ができないため輸入するか、汚れた海を避けて沖合や遠洋へ出ての漁業しかなく漁業範囲を広げている。