初の丹東インターネットフェスティバル開催
9月11日から「第1回丹東インターネットフェスティバル」が開催されている。『丹東日報』が管理するサイトで丹東の魅力をアピールするという趣旨のようだ。
不思議なのは、突然、始まった印象を受けることだ。トップページを見ると、見やすい今風のデザインで構成されている。しかし、各コンテンツは、過去の丹東日報の記事を上から日付順に並べたものでテキストのみが多く読みづらく魅力に欠ける。
また、メインのはずの観光地やホテル紹介は写真1枚を使った説明でトップページとの整合性がなくフェスティバル参加者をググっと引き込ませる工夫は感じられない。
正直、トップページだけを作り、コンテンツをリンクさせて急ごしらえで作ったという印象が拭えないのだ。
丹东首届网红节启动(第1回丹東インターネットフェスティバル)
今年末でサポート終了のFlashを多用
丹東インターネットフェスティバルは日本からは非常に重いがアクセスはできる。これは丹東インターネットフェスティバルに限ったことではないが、中国サイトは今年末でサポートが終了する「アドビ」の「フラッシュ(Flash)」を多用している。今月オープンしたはずの新サイトでも埋め込まれており、以前からのサイトを再利用したのではと勘ぐってしまう。
まあ、海外旅行が制限されている中でインターネット上で丹東観光を無料で楽しむくらいで覗いてみてはどうだろうか。
中国唯一の反米親朝をテーマとする記念館がリニューアルオープン
さて、この急ごしらえ感が満載の丹東インターネットフェスティバルとも関係がありそうなのが、中国のSNS上で丹東の露出が急激に増えていることだ。
丹東と検索するとアメリカについての話とある場所についての記事が上位を占める。
ある場所とは、「丹東抗美援朝記念館」だ。美は、中国語のアメリカを意味する美国。抗美援朝は、アメリカの侵略に抵抗するために北朝鮮を援助したという意味だ。公式サイトを見ると、同館は単独では中国で唯一の反米親朝をテーマとする戦争記念館だそうだ。同館は、2014年12月30日から全面改修工事をしており、その間、観光客は訪れることができなかった。
正式発表はないが、丹東の旅行会社関係者によると、丹東抗美援朝記念館は9月20日にリニューアルオープンするとみられ、開幕式には習近平国家主席も訪れると丹東では噂が飛び交っている。
ちなみに現在、中国の博物館は全土的に無料(外国人も)。丹東抗美援朝記念館も無料だが、新型コロナ感染対策か来館者は1日1500人制限(午前と午後で選択)でオンライン予約をする必要がある。
朝鮮戦争参戦70周年。反米世論を刺激
朝鮮戦争参戦70周年。反米世論を刺激
元々、丹東抗美援朝記念館は、一昨年にはリニューアルオープンする予定だったのが1年以上遅れたのは、激化する米朝対立が背景にあるとの見立てもある。
10月25日は1950年、中国が北朝鮮支援のため派遣した中国人民志願軍が鴨緑江を渡り、中国が朝鮮戦争へ参戦日となる。今年は参戦70年の節目の年を迎える。
名称は志願軍となっているが、日中戦争後に中国に残った朝鮮人(現在の朝鮮族)などが目的に告げられずに招集されて戦地へ送られたとの証言もある。当時、中国国籍ではなかった朝鮮人が中国人民志願軍へ多く参加していたことはあまり知られていない。
習近平国家主席は、中国国内の反米世論を刺激することで中国共産党への支持を高めるために内政利用する意図が透けて見えるようだ。
(続く)