過去3回結ばれたビラ停止の南北同意
過激化する北朝鮮へのビラ 金正恩氏の実父が藤本健二氏も(1/2)の続き。
朝鮮半島で南北が分断してから継続的に続くビラ戦争は、圧倒的に韓国側から散布された割合が高い。
また過去には3回ビラ配布を停止する同意、約束を結んでいる。「南北基本合意書同意」(1991年)、「6.15南北共同宣言」(2000年)、「軍事分野合意書」(2018年)。注目はいずれも韓国側が先に破っているということだ。
20世紀までは主に韓国政府が国策としてビラを飛ばしていたが、現在は、脱北者を中心とした民間団体が飛ばしている。脱北者たちは、命からがら脱北してきたであろうから、北朝鮮の現状を作り出した金氏一族に対して恨みと体制を打破して北朝鮮の国民たちを開放したいという思いが韓国人よりもはるかに強いことは容易に想像できる。
民間人の意思だから止められない
今年の韓国側からのビラ散布に対して北朝鮮は過去にない反発を見せて、韓国政府へ散布活動を停止するように強く求めた。
それに対して韓国政府は、「ビザ散布を行っているのは民間団体。民間人の意志は止められない」という従来からの立場を取り続けた。
さて、ここであることを思い出さないだろうか。
今や韓国内で100体以上が散在している慰安婦をモチーフにした“平和の少女像”や実は日本人労働者をモデルにしたことが判明しているいわゆる徴用工像の設置問題だ。
私有地などへ設置は自由であるが、大使館や領事館前に設置することはジュネーブ条約に抵触する可能性高いとされる。
日本政府は、いつもの遺憾を示し、ジュネーブ条約に基づき大使館や領事館前の像は撤去するように韓国政府へ要望するも、民間人の意志なので政府は撤去できないという見解を示してきた。
国際法・国際条約より国内法を優先する韓国
私権を守ることは民主主義国家では基本中の基本なので重要であることは疑いようがない。それぞれの国で憲法なりの最高法規でしっかりと保護されて時の権力者によって侵害されてはいけない。憲法は、権力者の横暴を防止するためのものだ。
というわけで、国内法は重要である。しかし、国と国が結んだ条約、国として批准した国際条例は国家として国内法よりも上位で守るのが国際的な慣習となっている。
国際条約や国際法よりも国内法を優先するとなると、誰がそんな国を信用して国家と国家の約束を結ぶだろうか。都合よく反故にされるのがオチである。
北朝鮮へビラを風船で飛ばす脱北者団体の権利も尊重する必要はある。しかし、韓国が北朝鮮と結んだ。正確には承認していないとはいえ、国と国が結んだ軍事分野合意書を国が守らなくて誰が守るのであろうか。
血税で維持される団体が純粋な民間団体なのか
韓国政府はビラ散布を止めることはできるが、言い訳をして止めていないだけではないか。これは慰安婦像や徴用工像も同じでだろう。そもそも、脱北者団体にも「挺対協」や「正義連」にも政府からの補助金、つまり国民からの血税が入っている。それで果たして純粋な民間団体、民間人と言えるのだろうか。
現在は、日本、北朝鮮と韓国の周辺国に収まっているが、韓国がこんな悪習を今後も繰り返していくと国際的な信用を失墜していくのではないだろうか。