観光客は開設どころか銀行へ行くだけでも難しい
観光客は開設どころか銀行へ行くだけでも難しい
「北朝鮮で銀行口座を開設できる」としたら興味があるだろうか。この数年、密かに旅行者の間で武勇伝のように語られている。
日本人が口座開設できるか、できないかと言えば、結論はできる。ただし、首都平壌では難しく、現在、作れるとしたら羅先特別市となる。
2000年前半まであれば、平壌に駐在してビジネスをしていた中国朝鮮族などが銀行口座を普通に作っていたようだ。以前、見たことがあるが今ではレアものだろう。
ぜひ北朝鮮へ旅行したときに担当ガイドへ銀行口座を作りたいとリクエストしてはどうだろうか。タイミングよく開設できたら超強運かもしれない。口座開設ができなくても銀行へ行ってみるだけでも面白いと思う(平壌市民で自分の銀行口座を持っている人は一握りとされる)。一般の観光コースには入っていないので拒否されることが普通で、それだけに銀行訪問できたら貴重な体験となる。
北朝鮮で銀行口座開設も大同江ビール輸入も外為法違反に問われる
注意点は、羅先などで銀行口座を開設できたとしてもサイトへ載せてたり、SNSで拡散させたりしないことだ。
日本が対北朝鮮へ実施する独自制裁などに熟知する関係筋によると、日本人が北朝鮮で銀行口座を開設することは外為法違反に問われる可能性があるからだ(現実的には北朝鮮の銀行口座は出し入れできないので有罪にはならないと思うが)。
外為法(外国為替及び外国貿易法)は名称から感じる印象よりも適応範囲は広い。
最近だと昨年7月に福岡の中国人少年が北朝鮮から中国へ輸入されていた大同江ビールを輸入販売していて逮捕(不起訴)された事件も外為法違反(無承認輸入)だ。少年は、「ヤフオク」で落札後に輸入するという無在庫販売をしていた。
藤本健二氏が帰国したら逮捕も
藤本健二氏が帰国したら逮捕も
“金正日の料理人”として知られる藤本健二氏にも外為法違反の疑いがかけられている。
これも昨年の話だ。春先に音信不通となり北朝鮮当局に拘束かとニュースとなった。藤本氏が疑われている内容は、日本からハンドキャリーで日本製の調味料などを北朝鮮へ運び出したとみられるからだ。そのため、現在、藤本氏は帰国すると外為法違反で逮捕される可能性もある。
拘束かと報じられた藤本氏は、その後、無事が確認されるも昨夏以降、日本人旅行者は藤本氏が経営する「日本料理たかはし」へ訪問できない状況が続いている。
2020年中に北朝鮮観光が再開されるかは未定であるが、もし再開されて、日本料理たかはしへも行けたと想定しよう。藤本氏へ日本から調味料や食材などを差し入れたら提供した訪問者も外為法違反の疑いがかけられることになりかねないので、SNSなど外部公開には十分に気をつけてほしい。意外と多くの人たちが目を光らせているからだ。