南国マレーシアにあった北朝鮮レストラン
中国を中心に全世界で展開されていた北朝鮮レストランの3分の2くらいは、国連による経済制裁により閉店している。2018年1月の1回めの制裁履行と、19年12月末の2回めの制裁履行と2度のデッドラインを経てとなる。
北朝鮮レストランの中には、国連制裁以外の理由で閉店した店も存在する。ジャカルタ(インドネシア)の「平壌レストラン」とクアラルンプール(マレーシア)の「高麗館」だ。
今回はクアラルンプールにかつてあった高麗館を中心にご紹介したい。
金正男氏殺害事件で大注目された北レス高麗館
金正男氏殺害事件で大注目された北レス高麗館
2017年2月13日の金正男氏殺害事件をめぐり連日のように中継された殺害国マレーシア。その中でも頻繁に登場した場所を覚えているだろうか。北朝鮮大使館と金正男氏も利用していたとされる北朝鮮レストランの2か所だ。
案の定、事件は政治判断でウヤムヤにされてしまったわけだが、一般客でごった返すLCCターミナルで、白昼堂々とVXとみられる猛毒で殺害するという世界を震撼させた事件だった。
北朝鮮大使館は、事件関係者が逃げ込み大使館がかくまったとして注目されて連日マスコミが大使館前に張り込んで状況を伝えた。
北朝鮮大使館から10キロメートルほど離れた場所にあったのがマレーシア唯一の北朝鮮レストラン高麗館だ。クアラルンプールは、ジャカルタやバンコクほど渋滞がひどくないので朝晩を除けばタクシーで15分ほどで着く距離だ。同館は事件半年後の2017年夏には閉店を確認している。
実行犯が予行練習したパビリオン近く閑静なエリアにあった
高麗館へは公共交通機関のモノレールでも行けた。駅から実行犯の2人が予行練習したというマレーシア資本の巨大ショッピングモール「パビリオン」を通り、歩くこと15分ほどといったところだろうか。
高麗館があったエリアは閑静な住宅街、ちょっと高級そうなレストランがあるような場所で、徒歩で探すのはグーグルマップが必須な場所だった。
2018年2月撮影の「グーグルストリートビュー」を見ると空き家のままのようだ。建物は、敷地内で朱色の屋根に白壁の平屋建築が複数棟連結している構造をしている。
営業時は、入り口ゲートの右側に守衛小屋があり、入場者を監視していた。クアラルンプール在住者によれば、高麗館は、クアラルンプールのレストランの平均単価からしても高い方に入る中級店に位置づけられるため、歩いて来店する人は少ないのではないかとのことだった。
館内は、木目調の床と白い壁を基調として、やや暗めの照明で高級感を漂わす雰囲気だった記憶がある。高級ホテル内のレストランといったイメージだ。
(続く)