ウェブサイトと同じように検索されるユーチューブ
世界中が動画サイト、特に「YouTube」に注目し、若い世代は様々な調べものをYouTubeで行うようになっているそうだ。
検索エンジン、たとえば「Google」で調べたいことを検索すると、無数にサイトがひっかかってくる。この中には広告収入を得るためだけに制作された中身のないサイトも少なくない。そのため、検索上位だからといって必ずしも優れた記事、自分がほしい情報が載っている記事とは限らない。
しかし、YouTubeだと動画件数が文字のサイトよりもずっと少ないこと、再生回数でおおむね優れた投稿かどうかが分かりやすいというメリットがあって、合理的に検索をしたい若者に向いているようだ。また、読むという集中力が不要なまま、音声と映像で情報を得られるという点も若者に好まれる。
日韓ユーチューブ動画を「バンコク」で比べる
この傾向は海外でも同じなのだろうか。タイへの渡航者が日本人よりも多い韓国人は動画でなにを検索しているのか、気になってざっと見てみることにした。
韓国語で「バンコク」と打ち込むと、その次に上がってくる予測検索キーワードは「旅行」、「グルメ」、「ショッピング」という単語だった。同じようにYouTube内において日本語で「バンコク」と打ち込むと、予測検索は確かに韓国人の検索と似たようなキーワードが出るものの、他に「ナイトマーケット」や「正式名称」が見られた。実は、バンコクの正式名称は世界で一番長く、タイ人はポップソング歌手がバンコクの正式名称を歌詞にして歌ったことがあり、その歌が検索されているのかもしれない。
タイ観光スポーツ省が発表している国籍別入国者数の統計では、2019年に入国した韓国人は前年比5.1パーセント増の188万7853人、日本人は同9.1パーセント増とはいえ180万6340人だ。ランキングでは韓国は第4位、日本人は6位になる。ここ数年はこのように韓国人の方がタイへの入国者は多い。
しかし、韓国人が日本人の入国者数とほぼ同じになったのは2015年からだ。その点で判断すると、日本はタイブームの到来時期が早く、リピーターも多い。そのため、検索ワードもよりピンポイントになるのではないだろうか。
ざっと見ると再生回数はあまり多くない韓国語動画
日本人は、タイ在住ユーチューバーも増加しているので、公開内容はニッチとも言えるような非常にマニアックな内容になっている傾向にある。一方の韓国の動画はわりとタイ観光などの初歩的な内容を公開しているケースが多いように見受けられる。再生回数も日本語は数万回レベルが多いのに対し、韓国人の動画は万を超えているものすらあまり多くない。
韓国人ユーチューバーは日本のトップユーチューバー以上に稼ぐ人もいる。しかし、タイに関してはまだあまり開拓されていないのかもしれない。
高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレスなど。
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