中朝国境の遼寧省で新型コロナウィルスによる肺炎患者30人に

中朝国境の遼寧省で新型コロナウィルスによる肺炎患者30人に

患者速報は伝えているもあまり深刻な写真は載せていない『丹東日報

中朝国境の遼寧省で新型コロナウィルスによる肺炎患者30人に

 新型コロナウィルスの感染拡大を受けて22日にいち早く国境を封鎖し外国人観光客の入国を全面停止に踏み切った北朝鮮。『労働新聞』では、国内へウィルスが持ち込まれないように国境検疫、医療体制を整えていることを国内へアピールしている。

 北朝鮮が中国人だけでなく全外国人観光客の入国停止を決めたのは、前日の21日に国境を接する丹東がある遼寧省大連で新型コロナウィルスによる肺炎患者1号が発表されたことが影響していると見られる。大連は日本企業も多く、遼寧省では、省都瀋陽に次ぐ副省都の大都市だ。

 29日現在、「在瀋陽日本国総領事館」のサイトによると、新型コロナウィルスによる肺炎確定症例として、遼寧省30例、吉林省8例、黒龍江省30例となっている。ここへ来てもっとも武漢から遠い黒龍江省で症例が増えている。

丹東患者5人?中国当局の発表を信じない中国人も

 都市別では、在大連領事事務所によると感染者は大連5人と発表している。領事館情報では丹東の患者数は伝えていないが、『丹東日報』によると丹東も5人、瀋陽で1人の患者が確定したと報じている。

 しかし、いずれの患者数も遼寧省衛生当局が発表している数字のため地元の中国人でも信用していない人は少なくない。概ね当局発表人数の2、3倍から10倍くらいが実数だと考える中国人もいる状態となっている。

 加えて、大連では、昨日、発表された奈良県の日本人1号患者となった60代バス運転手が運転したと見られるバスに大連から複数の旅行グループが乗車したことが確認されたため各旅行会社では朝から確認作業に追われている。

武漢封鎖前に国境閉鎖を実施した北朝鮮だが

 本日、昼前に取材したところ、現在、大連や瀋陽では、都市機能自体は問題なく機能しており、高速鉄道や市内バス、地下鉄も運行されている。また、スーパーマーケット、コンビニエンスストアも営業はしているものの都市間を結ぶ長距離バスは、運行を停止しバスターミナルは閉鎖し、市内バスや地下鉄も運行本数を大幅に減らして運行されている。外出を控える人が増えていることもあってか、昨日、瀋陽で地下鉄を利用した人によると車内はガラガラだったとのこと。

 今回の新型コロナウィルスが問題となり始めた今月中旬には、大連など中国東北地方までは感染は波及しないだろうとの見方が大勢を占めていたようだが、あっという間に患者数を増やしている。この現状を見越してか北朝鮮は、武漢が事実上の都市封鎖される前に国境エリアを封鎖する決断をしている。

 もし、新型コロナウィルスの影響が長期化して、丹東や吉林省などの経済活動も停滞してしまうと多くの輸入を中国に依存する北朝鮮も運命共同体的に体力を奪われていくことになると見られる。

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