人口875万人のバンコクには3000軒超の日本料理店
東南アジアの内陸国ラオスの首都ビエンチャンは、人口が91万人レベルではあるが、和食店が何軒もある。その中には韓国人経営の店もあるという。
隣国のタイは、空前の和食ブームで、特に推定人口875万人レベルの首都バンコクには3000店舗を超える日本料理店がある。20年以上も前のバンコクなら今ほど和食店がなく、移住した日本人などの素人料理でもそれなりに飲食店として成立していた。近年は、日本人経営、日本の大手飲食店チェーン、あるいは和食店で調理師として経験を積んだタイ人が調理する店など、ある程度のレベルが求められる。
タイのテレビ番組の影響で和食に興味を持つラオス人が増える
ラオスは社会主義国家であることや、内陸国であるために貿易などに不利な面もあり、タイやベトナムほど経済的に発展していない。そのためか、テレビもラオスの番組は少ない、あるいはバラエティーに富んでおらず、ラオス人の多くはタイのテレビ番組を視聴している。
こういったことから、タイの流行がダイレクトにラオスに入ってくることもあり、ラオス人も和食に興味を持つ人が10年ほど前から増えている。ラオスに移住した日本人の中には日本料理店を始める人もいて、バンコクほどその数が多くないことから、立地条件や現地人の需要にマッチすれば、それなりのビジネスとして成立する。
ラオスでの韓国料理需要は高くない
ラオス人の中には、ベトナム戦争のころの混乱や革命で欧米や日本に避難せざるをえなかった人もいるし、留学生として日本居住経験者もいる。その中には本物の日本の味を知る人もいるが、大半は国外に出たこともない人ばかりだ。そのため、日本料理の知識はテレビで観たものなどに限られ、バンコクのように本物の味を求める声はあまり高くないようだ。
そのため、現地のラオス人でもなく、日本人移住者でもない人が日本料理店を経営することもある。韓国人だ。
ラオスは、中国やベトナム系の移民、出稼ぎ労働者も多いので、それぞれの国の料理も需要は高い。しかし、韓国車や韓国家電が多いとはいえ、韓国料理は、それらの料理ほど需要は高くないようだ。バンコクでさえ、韓国料理は、ほぼイコールで韓国焼肉であるほどなので、ラオスでは韓国料理店はまだそれほど多くない。
ビエンチャンの日本料理店は30軒。ラオスではビジネスチャンスあり
ビエンチャンの日本料理店は30軒。ラオスではビジネスチャンスあり
そういった中で韓国人ビジネスマンは、日本料理の人気に目をつけて、日本人のふりをして日本料理店を経営している。現地在住の日本人移住者によれば、日本人経営でさえも和食店は淘汰が繰り返され、韓国人経営店もできてはなくなっているそうだ。その人物が現状知る範囲では、韓国人経営の日本料理店は2軒ほどビエンチャン市内にある。一見少ないが、人気とはいえバンコクほどの人口のいない、小さな首都では数えるほどしか和食店がない。ジェトロによれば、2018年時点でおよそ30軒。その中の2軒である。
現地のラオス人は、知識的に日本料理を知らないので、そのあたりの事情は気にしていないという。バンコクは、すでに和食店が飽和状態とも言われる。そんな中では日本とは関係ない国の人が店を出すほどなので、和食店にとってまだまだ未開の地ラオスでは、大きなチャンスがありそうな気がしてくる。
高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレスなど。
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