大連でランチ・夕方と行列ができるサムギョプサルの店
大連でランチ・夕方と行列ができるサムギョプサルの店
「すべて同じような味に思える…。肉そのものの味が死んでもったいない」と話すのは、中国の武漢や杭州など複数都市で業態やコンセプトが異なる日本スタイルの焼肉店をFC展開する王明華社長。
王さんが大連へ視察で訪れたときに行列ができる韓国焼肉店として人気があったサムギョプサルの店を訪れた。同店は平日のランチ営業から行列ができ、夕方営業の午後5時になると再び行列ができる人気店だ。
中央が少し盛り上がった円形の鉄板へ下味をつけた豚肉を店員が焼き、キムチやコチュジャンなどを投入して焼き上げて店員が大きなハサミで切り分けていく日本人もよくソウルで体験する韓国スタイルだ。
下味とキムチが強すぎてどの肉も同じ味に思える
韓国焼肉は、切り分けられた肉へサムジャン(合わせ味噌)などをつけて、サンチュ(リーフレタス)へ巻いて食べるのが一般的な食べ方であるが、王さんは、下味と途中で投入されたキムチの味が強すぎて肉の味が負けてしまっていて、何種類かの肉を注文したが、どれも同じに思えたそうだ。
「味はともかく、とにかくお腹いっぱい食べたいという学生や若者には、値段も安いし、韓国焼肉はいいかもしれないけど、美味しい肉を味わいたい客層をターゲットにするうちの店だとまったく満足しないでしょうね」(王明華氏)
王さんは、平成初期に日本へ留学し、その後、日本の焼肉に惚れ込み修行して日本で開業。現在、その店は、弟さんに任せて帰国して新しいFC店を立ち上げた。
ソウルも済州島も似たような味
大連視察後、王さんは経営者たちのグループで韓国視察へ行ったという、ソウル、テグ、済州島など国内数か所を視察した。余談だが、中国国籍者は、済州島のみビザなしで滞在できるが(仁川国際空港経由も含む)、済州島以外はビザを取得する必要がある。
「各地の有名焼肉店を食べたのですが、どこでも同じような味で違いを感じることができませんでした。焼き方を変えるとか、もっとつけダレも含めて多様な食べ方があると食として広がりがあると思うのですが、一色単に混ぜこぜにして焼いているという印象です」(同)
中国の中高年には辛い韓国焼肉
この感想は、王さんが軸足を日本焼肉に置いていることもあると思われるが、韓国がプレゼンスを強めている影響もあり、一般的な中国人は、“韓国は焼肉発祥の国”と認識している人は多い。そのため、日本へ旅行して日本スタイルの焼肉を食べて驚いたという人も少なくないようだ。
「衛生的な問題で生肉を食べない中国人にはしっかりと焼き上げる韓国焼肉はいいかもしれません。あと、中国人は豚肉を好む傾向が高いので、その点も韓国焼肉はいいと思います。ですが、私は自分の好みで焼き加減を選んだり、タレだけでなく、塩だけで部位ごとの味や食感も楽しむことができる日本焼肉のほうがいいですね。(中国の)中高年には韓国焼肉は辛いかもしれません。韓国と比較して日本焼肉のよさを再認識しています」(同)
韓国焼肉と日本焼肉のどちらを好むのかは、その人の好み次第といったところだろうか。