日本語とタイ語で検索結果が異なる韓国化粧品

日本語とタイ語で検索結果が異なる韓国化粧品

若い人に人気のコスメショップはオリジナルブランド(タイ製)の割合が増えてきた

 ネット検索で「韓国製化粧品」と打ち込むと、日本語の検索結果では、「おすすめしない」、あるいは「危険だから使うな」といったサイトが上位に出てくるが、タイ語で検索をすると「おすすめ商品の一覧」といった有名サイトの記事が検索結果上位に出てくる。

 ブランドが、PR記事をタイ人ブロガーなどに依頼している可能性もあるが、実際にタイ人女性は韓国製化粧品に対して悪い印象は持っていないようだ。

 タイも日本や他国と同じように女性の美貌への願望は強く、若い女性が化粧品を使う。ただ、タイは小中高の校則が厳しいので、日本のように10代半ばから化粧をすることはほとんどなく、多くが高校を卒業してから化粧を始める傾向にある。商品知識は日本の若い世代ほどはなく、ネットや口コミの情報に従う人が少なくない。そのため、ネット検索にもかなり影響されていると見られる。

タイでは評価されている韓国製化粧品。口コミや韓国芸能人も影響

タイでは評価されている韓国製化粧品。口コミや韓国芸能人も影響

デパートなどの高級化粧品を購入する女性がごく一部で、一般的な人はこういった大衆的な商業施設で化粧品を買う

タイでは評価されている韓国製化粧品。口コミや韓国芸能人も影響

 これまでタイではデパートで販売する外国製の高級化粧品か、スーパーマーケットや市場などで売られるタイ製、あるいは周辺諸国製の安い化粧品の、価格帯が両極端な選択肢しかなかった。しかし、近年は若い女性をターゲットにした安い化粧品店も増加している。

 そういった安価なコスメショップでは、大手チェーンではタイ製のほか、日本製、中国製、韓国製も扱う。タイ製も近年は品質が向上して人気がある。生産者からの距離が近いこともあり、価格的にも有利だ。また、韓国芸能人の人気から、韓国製化粧品も特に若い世代には支持されている。

ブランド力ある憧れの日本製化粧品

ブランド力ある憧れの日本製化粧品

日本と同じ中条あやみさんを起用したカネボウ化粧品のKATEの大型広告

 日本製はコスメショップなどの安価なものを使う人も少なくないが、価格帯が安いクラスだとタイ製か韓国製の方が利用される率は高いようだ。

 かといって、日本製が不人気というわけではない。日本の化粧品はブランドのイメージ戦略もあってか、タイ人女性からは「買えるなら日本製を使いたい」という憧れの存在になっている。TVコマーシャルなどでも時折、日本のコマーシャルをタイ語化して、出演女優はそのままに放映していることもある。また、元々デパートには日本の大手化粧品ブランドの販売店舗が並ぶことから、かねてからある高級品という印象がタイ人女性の中にある。

 加えて、2013年から日本旅行がタイでブームになっており、タイ人もかなりマニアックなスポットに足を運んだり、意外なものを土産ものとして購入している。しかし、化粧品は日本国内でも決して安価なものではないので、一般旅行者はあまり手を出さない。タイのインフルエンサーはネット上で日本のドラッグストアで安価な製品のまとめ買いなどを推奨しており、いまだタイ女性にとっては日本製化粧品は憧れのままのようである。

高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレス
@NatureNENEAM

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