K-POP人気のわりにはグッズが少ないタイ
アジア全域でK-POP人気が依然高い状況が続き、タイもまた日本と同じようにK-POP人気が高い。ファッションもK-POPタレントの影響が強く、女性だけでなくタイの男性アイドルもK-POPのスタイルに似てきているという指摘もあるほどだ。
タイにおけるK-POP人気を支えるのは、タイの中高生を中心にした若者の層である。動画サイトでの閲覧はもちろん、飲食店やナイトエンターテインメント施設でもK-POPの楽曲を耳にする。地方の飲食店では和食店にも関わらず、店内で衛星放送の韓国チャンネルをテレビで流し、K-POPがかかっていた。
一方、K-POPアイドルたちのグッズは案外に多くない。車や家電などの韓国製品がタイ国内に溢れるが、K-POPグッズはネットなどでの通販は見られるものの、種類もあまり多くないようだ。
日本もK-POP人気が高く、また国同士の距離が近いこともあって、よりK-POPが身近にある。ライブなどはタイよりも頻繁に開催され、またグッズショップも少なくない。ブロマイドなど非正規品と見られる商品も多いが、東京の新大久保駅近辺のK-POPグッズ店は数多の商品が並べられ、日本人K-POPファンが目的のものを物色している姿が見られる。
日本のファン層も中高生を中心にしているようだが、タイの場合は専門的なショップがないことから、実際に若い人がK-POPを追い求めている様子がややわかりにくい。
日韓関係悪化の影響は?活気ある新大久保コリアンタウン
東京の新大久保駅近辺はかねてより韓国人街となっていることはご存じの方も多いことだろう。
筆者のようにタイ在住の場合、どうしても日本のマスコミなどのメディア情報に知識が偏る。2019年は日韓の関係悪化などの報道が多かったことから、日本のK-POP人気にも影響があったと思い込んでいた。しかし、新大久保に実際に足を運んでみると、日本の若者たち、特に高校生や大学生とみられる女性たちが多く、韓国料理やコスメなどを買い求める姿の数はいまだに減っている様子はない。中には韓国人の姿もあり、同時に韓国人タレントが(おそらく)韓国のテレビ番組の撮影に訪れるなど、報道で感じていた日韓の関係とはずいぶんとかけ離れている印象を受けた。
日本土産に悩むタイ人訪日リピーター
近年はタイ人の日本渡航が多く、日タイ間の空路ではタイ人乗客の姿が10年前と比較して増えている。東京都内でも上野や浅草を中心に主要エリアでタイ人観光客をたくさん見かけるようになった。
彼らはタイの家族や友人たちのために買う日本土産は菓子類、服飾関係の製品などを中心に選ぶ。しかし、日本旅行経験者が増えていること、リピーターも多いこと、またタイ国内で日本の製品が容易に手に入るようになってきていることから、日本からの土産に頭を抱えるタイ人観光客も少なくない。
K-POPグッズがこれから喜ばれる日本土産に?
SNSなどが発達し、特に若い人が利用するようにあった現在、タイ人の若者の情報量は格段に向上した。そんな中、中高生の間では日本のK-POPグッズの種類が豊富であることが話題になっているようで、知人や親戚が日本に渡航すると聞くや、土産にK-POPグッズをリクエストするようになりつつあるという。価格帯も数百円レベルからあるので、タイ国内で購入するグッズの平均的な価格帯とあまり変わりがない。サイズも大きなものはあまりないので、持ち帰りやすく、かつ頼みやすさもある。
これからもK-POP人気と日本旅行人気がタイで続くようなら、今後、タイ人観光客による日本土産はK-POPアイドルグッズになるかもしれない。
高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在に至るまでバンコクで過ごしている。
『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレス
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