韓国経済が米中貿易戦争から受ける影響
韓国経済が米中貿易戦争から受ける影響
米国と中国は言わずと知れた大国同士であり、その両国間の貿易戦争は、様々な国々に大きな影響を与えている。昨年、米国が中国に制裁関税をかけたのがきっかけとなり、中国もそれに対抗するように関税をかけるなど問題の終息がいつになるのかは不明だ。
こうした影響は多岐におよび、中国や韓国、日本、台湾などの金融市場が乱高下を見せ、株価指数は急落することもあった。それだけでなく外国為替市場の変動額が大きくなるなど、各国に大きな影響を与えている。
こうした問題だけでなく、韓国では輸出依存度が高い国であるため、ほかの国よりも影響を受けやすい。米国と中国との貿易戦争により、世界貿易と景気が委縮するようであれば、輸出入がGDP(国内総生産)に占める割合が7割(2017年)と多い韓国経済に大きな打撃となるのは間違いない。
対米中貿易依存度が高い
韓国は米中両国と関係が深い。それは歴史的な背景だけでなく、経済も同様だ。韓国は輸出依存度が高いが、その中でも米中の2か国が占める割合は大きい。現在、韓国は米国からセーフガード(緊急輸入制限)を発動され、輸出を自主規制している項目もある。そのため、2018年から2022年にかけて、鉄鋼や洗濯機、太陽光関連の対米輸出の減少が予想されている
また、韓国は中国に関して中間財を輸出しているため、中国の対米輸出が減少すれば大きな影響を受けるのは避けられない。米中の貿易戦争は長期が予想されているため、問題の解決時期は不透明だ。つまり、両国と関係の深い韓国は影響を受け続けることになるだろう。
IMF2019年の韓国経済成長見通しを0.6%下げ2%へ
国際通貨基金(IMF)は、今年の韓国の経済成長見通しを4月の予想値2.6パーセントから2パーセントへ下方修正した。その理由は、韓国が米中貿易戦争の影響と中国の景気鈍化による影響を受けていると判断されたからだ。また、世界トップクラスの格付け会社である「スタンダード・アンド・プアーズ」や「ムーディーズ」はこれまでに韓国企業の格下げについて独自のレポートなどで言及している。
今後さらに、韓国企業の業績が落ち込むようであれば、格下げが行われ株価や資金調達などへ影響が出るのは避けられない。企業の業績が好転するような話題があればよいのだが、米中貿易戦争は、トランプ大統領が中国を為替操作国に指定したことにより新たな局面に突入した。為替戦争へと突入したことにより、特定品目における輸入関税を課すのとは異なり、すべての経済活動に影響する通貨を統制するものだ。そうなってくると、交渉による問題解決は困難な状況となり、問題の解決は長期化の様相を呈している。
韓国経済を取り巻く環境は、米中貿易戦争により厳しさを増しているのである。
千歳 悠
4年ほど活動しているフリーライター。金融、IT、国際情勢など日々情報を追いかけている。趣味は読書と動画視聴。
@chitose_haruka
何故韓国のムンジェイン大統領は自国に損失を与える様な態度を取るのか理解に苦しみます。