深く彫りすぎて延伸困難
深く彫りすぎて延伸困難
レトロ車両が鉄道ファンを魅了させる北朝鮮 歴史ある鉄道を観光資源に活用し始める(1/2)の続き。
世界中の鉄ちゃん、鉄子さんたちの熱い視線を浴びており、一番驚いているのは、当の北朝鮮関係者なのではないだろうか。
平壌地下鉄は、深く掘りすぎてしまった影響と地術力の問題で延伸に苦戦しており、大同江の下を掘削する技術がないとされる。
ある日本の大学の中国人研究者が、日朝が国交樹立したら短期の経済支援として地下鉄建設技術を提供して大同江の下を掘削して延伸する支援をしたらいいと提言していた。この技術は韓国にはないらしい。
日本は、地盤が柔らかく地下鉄工事は難しいとさじを投げられていたタイのバンコク地下鉄建設を実現したくらいだから、その技術が生かせるということだろう。もし、将来、日本企業が朝鮮半島初の地下鉄の延伸工事を実現させたらと考えるとワクワクもしてくる。
また、平壌で現役で走っているトラムには、レトロなポーランド製などもあるのだが、このトラムも乗車することができる。ただし、こちらも有料オプションとなり、一般乗客との混在は無理で、車両ごと貸し切ることになるため高額となり、大人数の団体向けとなる。
鉄オタ狙いのSL乗車ツアーが始まる
世界中の鉄道ファンの熱いニーズに気づいた北朝鮮は、SL(蒸気機関車)乗車ツアーも数年前から始めている。
現在、北朝鮮国内で現役で走るSLはないものの最近まで走っていた退役SLが整備されて保管されている。それらのSLを外国人観光客向けに有料で走らせている。
最初にSL乗車ツアーに注目して実現させたのは、「チュチェトラベルサービス」(英国)で、シベリア鉄道で車中泊しながら北朝鮮入りする鉄オタぶりを見せつける充実のツアー内容だった。
SL乗車は、北朝鮮東部の清津から鏡城まで片道40分ほどを走るもので、乗車するか、乗車せずに撮影するだけの2種類から選ぶことができる。
それぞれ整備に要する時間が異なるため2か月ほど前には希望を伝える必要があるという。
昭和初期の日本製SL乗車オプションは30万円強
昭和初期の日本製SL乗車オプションは30万円強
使用されるSLは、戦前の日本時代の車両が多いが、北朝鮮建国後に導入されたソ連製や中国製もある。
6月に乗車した日本人旅行者の報告を見ると、昭和10年代の名古屋製SLだったようだが、許可を出していたにもかかわらず現地では「危険だから」という意味不明な理由で乗車できず、走るSLを自動車で追いかけて撮影したようだ。
ちなみにオプション料金は、旅行代理店によると乗車で3000ドル(約32万円)、撮影のみで2000ドル(約21万円)となる。
旅費も含めるとグループで利用しても決して安くない。それだけにもっと安定した確実なサービス提供が望まれるところだろう。