平壌地下鉄全線制覇サービス開始
近年、鉄道ファンから熱い視線を浴びているのが北朝鮮。首都平壌を走るトラム(路面電車)やトロリーバスなどは、東欧の旧社会主義国製ものが現役で走っている。本国にはすでに廃車になったものが北朝鮮では走っている。
そんな平壌で8月から始まったある有料サービスが鉄道ファンの心に刺さっている。
平壌地下鉄全線制覇サービスだ。
平壌地下鉄は平壌観光のモデルコースで含まれるもので、多くが1駅や2駅程度の体験乗車となる。
それが、初めて外国人向けに開放されて全駅制覇できるとあって注目を集めているわけだ。
平壌地下鉄は1973年朝鮮半島初の地下鉄として開業
平壌地下鉄は1973年朝鮮半島初の地下鉄として開業
そもそも平壌地下鉄は、ソウル地下鉄よりも1年早い1973年に朝鮮半島初の地下鉄として開業したものだ。
現在では、世界的な地下鉄網まで発展したソウルであるが、その開業は1974年と平壌より遅れた点が興味深い。
平壌地下鉄は、千里馬線(1号線・8駅)と革新線(2号線・8駅)の2路線がある。線路は、日本の新幹線と標準軌(1435ミリメートル)が採用されている。
これまで乗車できたのは、千里馬線のみで、革新線の乗車は許可されなかった。北朝鮮側はその理由としては、革新線は電力事情が悪く停電となることが多く、車内に閉じ込められたり、ホームから地上へ上がってこれなくなるため外国人には開放していないと説明していた。
核シェルターも兼ねる平壌地下鉄全線制覇オプション1万円
平壌地下鉄が開業した時代、米ソ冷戦で核戦争勃発が現実問題として突きつけられていた時代だ。しかも、1970年代の中国はソ連と対立し、中国は毛沢東主席の指示で中国各地にソ連からの核攻撃に耐えられる地下核シェルターを建設していた。
平壌地下鉄も戦時のときの防空壕や核シェルターとして使うことを想定して設計されたため地下深くに建設されている。
地上駅から円柱にくり抜かれた白壁エスカレーターで地下へ約100メートル、もっとも深い駅は地下150メートルの場所にある。
8月から革新線も含め全16駅を利用する有料サービスは日本円で1万円ほどするが、手配代理店にはすでに問い合わせが入っているという。
これまで乗車させなかった革新線を開放したということは、電力設備が改善したのかもしれないが、詳細は明らかにされていない。
(続く)