医者の数倍稼げた90年代の中国タクシードライバー
北朝鮮で憧れの上級職「観光ガイド」 恵まれているはずなのに離職者が増えている謎(1/2)の続き。
ここで思い出すのが、改革開放後、1989年に起こった天安門事件で国際的な非難と制裁を受けた後の90年代半ばごろの中国だ。
90年代半ば以降の中国ではモータリゼーションが起こり、経済発展とともにタクシー需要が急増した。その結果、完全歩合制のタクシードライバーは超高給取りの花形職業へと変貌することになる。
さらにそこから時代が大きく変わった現在でもタクシードライバーは各都市の最低賃金の3倍強はあり普通の店員などサービス業よりは遥かに稼ぐことができるのだ。
現在、50代前半の医学部出身の中国人女性は、
「私が現役医大生のころ、卒業する先輩たちは医者にならずタクシーの運転手になった人が大勢いました。当時は医者の給料が低かったこともありますが、医者よりも運転手のほうが数倍儲かる職業だったんです。かく言う私も卒業後は医者にならず、日本語を学ぶため日本へ留学し、日本企業へ就職したので似たようなものかもしれません。それほど皆んな競うようにタクシーの運転手を目指していました」(日本企業サービス統括部の女性部長)
急増する平壌のタクシー。外国人向けならチップだけでも相当稼げる
北朝鮮では、2013年ごろから平壌を中心にタクシーが急増している。自由行動ができない外国人旅行者は単独では乗ることができないものの同行するガイドと一緒なら乗ることができる。運賃は、人民元など外貨で支払うことも可能だ。
チップの習慣があまりない日本人や中国人は乗車しても多めに払うことは少ないだろうが、ヨーロッパ人などだとお釣りを受け取らなかったり、チップを渡す人もいるのではなかろうか。同行するガイドがそれを隣で見ていて、「タクシードライバーは稼げる」と思う光景を頻繁に見てきたのであれば、タクシードライバーへ転職しているのではないだろうか。
イントラネット構築でガイドより高給なネットビジネス誕生?
しかも外国人向けのガイド経験者なら日本語や英語、中国語など外国語が話せるので、旅行会社と契約して必要なときに呼んでもらったりもできる。実際、ガイドがタクシードライバーへ転職したという話はまだ聞いていないので、あくまで仮説に過ぎないが、北朝鮮の経済発展でより高い給料の仕事が誕生し増えているのではないかと思われる。
北朝鮮は、インターネット接続が難しいため為替のデイトレードやFX、仮想通貨などは限界はあるが、構築されつつある国内イントラネットを使ったオンラインショップやアプリでの新サービスなどで稼ぐ人も生まれているかもしれない。
ぜひ訪朝したら現地ガイドへそんな新ビジネスについて話を聞いてみてはどうだろうか。すでに転職を考え動いていてホットな話が聞けるかもしれない。
参考サイト
市場化の風に乗って…平壌にタクシーやサービ車走る