単体のラジオは持ち込みNGだけどスマホやPCはOKに
北朝鮮は持ち込み荷物の検査が厳しいというイメージがあるが、実際は、年々緩和傾向にある。特に2013年の携帯電話(スマートフォン、パソコン、タブレット端末含む)の持ち込み解禁から緩和が促進されている。
確かにタイや台湾など観光立国と比べてしまうと依然として厳しく感じるかもしれないが、90年代から定期的に訪朝している人にとっては、格段に緩くなったと感じているようだ。
持ち込みが禁止されているものについては別の記事で触れるが、2019年9月の現時点でも持ち込みが禁止されているものは、単体のラジオ、双眼鏡、150ミリメートル以上の望遠レンズ、ここへ最近加わったものにドローンなどがある。ビデオカメラなどは持ち込めるが、筐体側面にGPSと書かれているものは注意が必要となる(詳細は旅行代理店へ尋ねてほしい)。
一番荷物チェックを受けるのは紙媒体
さて、デジタル系グッズの持ち込み禁止品は全般的になくなったものの相対的に厳しく感じるのが本や雑誌など紙媒体だ。
荷物チェック時に本の有無が聞かれて取り出して見せるとパラパラとページをめくって確認を受ける。あまり時間が割けない空路での入国だとあまりないが、鉄道など陸路での入国だと特に念入りだ。
紙媒体で持ち込みが禁止されているのは、当然ながら北朝鮮を批判する書籍や雑誌。韓国を扱うの書籍類も注意が必要で、政治関係全般はトラブルを防ぐために持っていかないほうがいい。
また、ポルノ雑誌は、没収だけではなく刑罰の対象となる恐れもあるので冗談でも止めたほうがいいだろう。
朝鮮魅力の旅は唯一堂々と持ち込める公認ガイドブック
さて、多くの日本人は、北朝鮮へ観光目的で入国するであろうからガイドブックを持っていきたいところだろう。ガイドブックの代表格である『地球の歩き方』(ダイヤモンド・ビッグ社)の北朝鮮編は残念ながら存在しない。
しかし、悲観することなかれ、ガイドブックで北朝鮮が唯一公認して堂々と持ち込めるものが存在する。
『朝鮮魅力の旅・改訂版』(朝鮮新報社)
だ。これは没収されることもない。当然、中国でも問題ない。しかし、最後の改定版が2012年発売とやや古くなっているので最新版の発売が待たれる。
先日、KWTで紹介した『北朝鮮と観光』(礒﨑敦仁 著)は、持ち込みを試みた訪朝者からの情報がないが、止めたほうがいいと思われる。
内容は素晴らしいのに旅の指さし会話帳が北朝鮮で没収される理由
さらにガイドブックよりは会話を盛り上げる目的でシリーズ本で発売されていて、内容的にはまったく問題ないが見つかると没収対象になるのが、『旅の指さし会話帳42 北朝鮮(朝鮮語)』(情報センター出版局)だ。
旅の指さし会話帳42 北朝鮮(朝鮮語)を読んでみると分かるが、北朝鮮の文化や制度、習慣、風土がしっかりと研究した上で構成されている良書だったりする。当然ながら北朝鮮を批判する内容はまったくなく、北朝鮮独自の言葉や言い回しなどの説明もある。しかし、同書がNG本にされている理由は、指導者がイラストで描かれている点で、どうやら北朝鮮はこの点を不敬として問題視しているようだ。
旅の指さし会話帳42 北朝鮮(朝鮮語)の冒頭には、日本語と朝鮮語で同書への理解を訴えるページがあり興味深い。
問題とされている指導者のイラストを別の絵に置き換えたら解決し持ち込めるのではないかと思われるのであるが、難しいのだろうか。ちなみに、 旅の指さし会話帳42 北朝鮮(朝鮮語)は2003年発売で、すでに絶版となっているため中古本として購入するしかない。
出版戦略を練り直してこちらも改訂版も発売を心待ちにしている読者は多いと思う。