北朝鮮と中国は同盟関係でありともに社会主義を謳う国家
北朝鮮と中国は同盟関係でありともに社会主義を謳う国家
1950年から1953年に行われた朝鮮戦争において、中国は人民義勇軍を派遣し、事実上、北朝鮮を軍事支援をした。その後、1961年7月11日、中国と北朝鮮との間で中朝友好協力相互援助条約が結ばれ、中国と北朝鮮は同盟関係となる。
中朝友好協力相互援助条約の第2条には、参戦条項が記載されており、どちらかの国が他の国から攻撃された場合、互いに参戦し互いの国を助けるといった内容が記載されている。
この同盟関係が中朝の親密さに影響を与えている要因の1つだ。また、中国と北朝鮮はともに社会主義国家として存在している。
中国では、中国共産党の1党に権力が集中しており、国家の運営は中国共産党の指導のもと行われるという方針が取られているのが特徴だ。
北朝鮮は、1948年に政府が樹立されてから朝鮮労働党による1党独裁により政治運営を行っている。
経済のあり方は異なるものの、両国の政治体制には類似点が多いことは疑いようのない事実だ。そのため、仮に北朝鮮の体制が崩壊するような事態になれば、中国の1党独裁体制への批判や不満が出る可能性もあるため、中国は北朝鮮との関係に常に神経を尖らせてきた。
中朝関係の根底には互いの思惑が見え隠れする
中国と北朝鮮が中朝会談を行うのは、両国の親交を深める以外にも重要な意味がある。北朝鮮にとっては、「核・ミサイル問題」によって経済制裁が課されるなど、諸外国との関係は悪化している状態が続く。その中でこうした会談を続けることは、北朝鮮が大国である中国の支持を得ていることを世界中にアピールすることができる。
また、経済制裁に苦しむ北朝鮮にとって核問題の解決にあたり、経済制裁の緩和を訴えている中国はありがたい存在と言える。近い将来、経済制裁の緩和がなされ、中国からの支援が受けられるようになれば、米国との交渉や関係に影響を与える可能性が高い。そのため、中国は北朝鮮にとっては親密な「友誼関係」を維持しなければならない相手となる。
逆に中国から見ると、北朝鮮は地政学的に在韓米軍から身を守るための緩衝地帯となっている。もし、北朝鮮の現体制が崩壊し、韓国主導での朝鮮半島統一が果たされたならば、在韓米軍が北上し、中国の喉元に武器が突きつけられることになる。そうすると、朝鮮半島に対する米国の影響力が強まるのは確実だ。
それだけでなく、北朝鮮が何か行動を起こした場合、米国は中国に協力を求めるため、中国の米国に対する立場が強くなる。米国と中国との関係が悪化する中、北朝鮮は中国にとっても利用価値がある国となる。
中朝が親密関係にある裏には、こうした両国の抱える事情と思惑が絡み合っているのだ。
千歳 悠
4年ほど活動しているフリーライター。金融、IT、国際情勢など日々情報を追いかけている。趣味は読書と動画視聴。