北朝鮮へナイスショット
北朝鮮へナイスショット
今はなくなってしまったが、中朝国境の丹東にはかつて世界1北朝鮮に近いゴルフ場が存在していた。
営業していた当時、大連の日本語情報誌にも広告が載っており、キャッチコピーは、「北朝鮮へナイスショット」だった記憶がある。
コースは、中朝国境を流れる鴨緑江の珍珠島という中洲にあり、「珍珠島ゴルフ場」と呼ばれ、橋で結ばれる丹東側にはクラブハウスと打ちっ放しの練習場があった。
旧クラブハウスをホテルへ改修
ゴルフ場が閉鎖された後、元クラブハウスは、改修されて、2009年に「丹東珍珠島江畔酒店」(酒店は標準的なホテルという意味)として開業している。同ホテルの英語名は、丹東パールアイランドゴルフクラブと表記される。
開業時には、すでに北朝鮮にもっとも近いゴルフ場だった珍珠島ゴルフ場は、閉鎖されていたのにどうして英名にゴルフが残ったのかというと、クラブハウスと併設されていた練習場がホテルの施設として残されたためだ。
つまり、ゴルフの練習ができるホテルが開業時のアピールポイントだったのだ。
その練習場も数年前に閉鎖されて現在は空き地となり、中国語名からゴルフ(高爾夫)を削除したがなぜか英語名には残されたままとなっている。
中国でゴルフブームが起こるも習近平政権でブーム終焉
中国でゴルフブームが起こるも習近平政権でブーム終焉
2000年代後半、中国では、中間層の増加ともにレジャーや社交の場としてのゴルフブームが巻き起こり、全国でゴルフ場建設ラッシュで盛り上がったが、2013年、習近平政権になるとゴルフは、腐敗撲滅運動のターゲットになり、ゴルフブームはかき消され中国各地のゴルフ場は閑古鳥が鳴く状態に陥ることになる。
珍珠島ゴルフ場でプレイ経験がある日本人経営者は、こんな感想を述べている。
「ラウンドしていると対岸の北朝鮮人らしき人たちを見ることができました。彼らに見せつけるように打ち込むのが、なんだか悪趣味だなと感じました」(日本人男性)
北朝鮮も中国からも丸見えのゴルフ場
北朝鮮も中国からも丸見えのゴルフ場
また、珍珠島ゴルフ場が閉鎖した原因は、ゴルフブーム到来前だったからと言われていたが、前出の男性は、
「日本でもそうですが、多くのゴルフ場ってラウンドしながら密談や商談するような場としても使われるためプレイヤーのプライバシーを守るための配慮がされているものですが、珍珠島ゴルフ場は、並走する通りから遮るものがなく、自動車でゴルフ場を通り過ぎると誰がプレイしているまで丸見えでした(笑)」(同上)
これでは、政治家や財界人たちは、密談などにおちおちと利用できない。北朝鮮は、丸見えでも中国側からも丸見え状態だったようだ。
珍珠島ゴルフ場跡地は、現在、珍珠島公園として整備されている。
珍珠島のすぐ右側には珍珠島よりもお大きな北朝鮮領の中洲がある。今なら北側の中洲を中国へ貸し出して、中朝両国にまたがるようにラウンドするコースが誕生すれば世界中のゴルファーたちから熱い視線を集めるのではないだろうか。