中国・北朝鮮投資情報メディアが伝える北朝鮮スマートフォン事情
中国黒竜江省新聞社の傘下で、北朝鮮社会や投資状況を伝えるメディア『魅力朝鮮』へ掲載されたスマートフォンが北朝鮮社会へもたらした変化について伝える2019年7月29日の記事(从1694部到600万部,朝鲜智能手机发展迅速)を翻訳してお伝えする。実際に記者が北朝鮮の最新スマホ「平壌2423」を入手して検証もしている。
なお、社名など一部の固有名詞は原文の英語表記にしてある。
スマホを操作しながら歩く若者
平壌を中心に北朝鮮のその他の地方都市では、スマートフォンが爆発的に普及している。
平壌では、他の世界の都市と同じように頭を下げて歩く「低頭族」を見かけることできる。スマホは、北朝鮮の若者たちにとって強力な魔法のような力で彼らをひきつける。
北朝鮮のスマホユーザーは、海外サイトの閲覧はまったくできず、国内コンテンツも限られているが、北朝鮮におけるスマホの普及は、今の北朝鮮社会の発展のプロセスを垣間見ることができる。
近年の北朝鮮において最大の変化の1つは、携帯電話やタブレット端末、スマートフォンなどのモバイル通信の普及だ。
北朝鮮の人口の30%600万人超がスマホを持つ
北朝鮮の人口の30%600万人超がスマホを持つ
北朝鮮での携帯電話サービスは、2002年に導入されるも正式にサービスが開始されたのは2008年からとなる。当時、エジプトの通信会社「Orascom」と「North Korea Post and Telecommunications Corporatio」とが合弁企業として「Koryolink」を設立。サービス開始、初年度2008年のユーザー数は1694人だったものの3年後には、ユーザー数100万人を突破。その後も順調にユーザー数を増やしていき、2013年242万人、2015年324万人、2016年360万人、2018年には600万人を超えた。
北朝鮮でスマホが爆発的に普及したのは、スマホ自体の機能拡大とスマホを利用したeコマースやSNSの発展が関連している。
北朝鮮でスマホが登場した当初は、ビジネスパーソンが、為替レートや市場価格の確認など業務上で使用する目的がほとんだった。しかし、それが、現在では、SNSなどの進化により大学生や若者の心をつかみ業務外の娯楽目的での利用者を増やしている。
現在、北朝鮮にある通信会社は、前出のKoryolinkの他にも「Kangsong Network」と「Byol」の3社がある。これら通信会社3社合計で600万人のスマホを中心としたユーザーがいると推測される。この人数は、北朝鮮の総人口2500万人の約30パーセントに相当し、全体の3割の北朝鮮人がスマホなど移動端末を持っていることになる。
(続く)