リピート訪朝者の間で口コミ人気の北朝鮮土産
北朝鮮を複数回訪問しているような「訪朝リピーター」の間で数年前から「尋常ではない高コスパ品」として密かに人気を集めている北朝鮮土産がある。それは掛け軸タイプの細長いカレンダーだ。
カレンダーは多くの日本人が利用するだろうが、机に置く卓上タイプや正方形に近い壁掛けタイプが主流で、長方形の掛け軸タイプはあまり見かけないかもしれない。
北朝鮮では、毎年11月末ごろに新しい年のカレンダーが登場する。デザインは、指導者編、人気女優編、軍人編、モランボン楽団編なども人物をモチーフしたものが人気だが、どうやらこれらは国内向けで外国人が買えるものではないようだ(または国外持ち出し規制品)。一方、外国人も買うことができるデザインとしては、調度美術品編、風景自然編、映画俳優編、都市風景編などがあり、その中でも去年、今年と外国人に人気を集めたのが、高麗航空編のカレンダーだ。
毎月、「高麗航空」のキャビンアテンダント(CA)やパイロット、社内、管制室、機内、さらにはキャビンアテンダントとパイロットのドラマの1シーンのようなラブロマンスまで12か月分、表紙も合わせて13枚楽しむことができる。
指導者の生誕日は特別な太字
デザインが命なカレンダーの図柄を見せるのは、これから購入してめくる人の楽しみを奪ってしまうようなルール違反になるので、すでに過ぎた2月分のデザインを掲載させてもらう。
まずは、 調度美術品編から、「寿」があしらわれた「長寿の桃」という作品となっている。左下の説明には、2009年2月16日に中国企業の董事長(CEO)から贈られた調度品と説明がある。
特別な赤い太字に白く縁取られた数字となっている2月16日は、金正日総書記の生誕日で、この日は、光明星節という重要な祝日となっている。現在、北朝鮮では、2月16日光明星節と4月15日太陽節(金日成主席の生誕日)の2か所のみが同じ特大フォントの太字となっている。
写真とともに北朝鮮らしいスローガンも
続いて、 風景自然編の2月を見てみると、右下に「団結の夜明け」と書かれ、金正日総書記が生まれたとされる白頭山をデザインしている。
最後に高麗航空編を覗いてみよう。写真右下には「フライト前のミーティング」と書かれ、高麗航空の旅客機模型を持って説明している男性の話に耳を傾けるパイロットやキャビンアテンダントが写っている。各月の左下にはメモスペースまで用意されている実に親切デザインとなっている。
全体的な傾向として、写真のクオリティや構図などは問題なく高品質である。
ポストカード2枚分で買える高コスパ北朝鮮カレンダーも日本へ持ち込めば没収対象
紙質自体も日本で一般的に販売されているものと比較しても遜色はない。しかし、残念な点は、各ページをつなぐリングとリングとじの穴、そして、カレンダー自体を支える重要な吊り具が非常に貧弱なことだろう。掛け軸タイプなので200グラムを超える重さがあり、この吊り具で1年間を支えるのは心もとない作りなのが残念だ。来年版は改良されることに期待したい。
さて、これからのカレンダーが高コスパとしてリピーターの間で口コミ人気となった理由の1つは、販売価格にある。これらのカレンダー1部が北朝鮮各地の観光地などで売られているポストカード2枚分くらいで買えてしまうのだ。単純に紙の枚数だけでも6倍以上あるにもかかわらず・・・。
この高コスパカレンダーは、毎年11月末から3月ごろ売られているが、土産物店の表に並ぶことは少なく、奥に収納していることが多い。そのため、買うときには、「カレンダーがほしい」と伝え出してもらう必要がある。
最後に日本政府は北朝鮮に対して独自制裁を実施しているため今回ご紹介したようなカレンダーも含め北朝鮮製品の日本へも持ち込みはすべて没収対象となるため十分に注意していただきたい。