日王=日本国王=天皇
韓国の文喜相議長が米メディアに対して慰安婦問題の解決には日王(天皇)の謝罪が必要と発言した問題で、多くの日本人は、「日王って何だ?」と思ったのではないだろうか。
日王とは、日本国王の略で、韓国で天皇を指す言葉だ。
日本国内では天皇陛下と陛下や皇太子殿下などの敬称をつけて呼ぶが、日本でイギリスのエリザベス女王やタイのワチラロンコン国王と敬称をつけずに呼ぶように外国である韓国が天皇と呼ぶのは、非礼には当たらないだろうが、日王なる日本には存在していない言葉で呼ぶのは大いに問題がある。
日本政府も、天皇への謝罪要求発言の撤回はもちろん、先日のお伝えした「戦犯の息子」というとんだ歴史的誤認と合わせて、「日本には日王なる立場の人物は存在しない」と明確に発信する必要があるのではないだろうか。
グーグル翻訳までも日王
グーグル翻訳までも日王
現在、韓国の公共放送局『KBS』や、『中央日報』、『東亜日報』などの大手新聞、『聯合ニュース』などの主要マスメディアの電子版で検索すると、日王(일왕・イルワン)では大量の記事がヒットするも、天皇(천황)では数件しかヒットしない。天皇表記でも、天皇(日王)や逆のものが多く、天皇単独表記の記事は、数えられるほどしかない。
しかも、グーグル翻訳で、 일왕(イルワン)を日本語へ翻訳すると天皇と翻訳される有様だ。
漢字を事実上排除した韓国では、一般的には漢字を使わないが、日王は、 日왕を表記することもある。北朝鮮を北や北한(プッカン)と表記しているのと同じだ。
日王という表記は、皇帝を意味する「皇」の字を長年、宗主国である歴代中国の皇帝から使用が許されず王の地位だったため、格下である日本(朝鮮儒教的な序列は、中国、朝鮮、日本と認識されてきた)が皇を名乗ることが韓国人の劣等感を刺激し、ナショナリズム的に許せないというのが一般的に言われる理由だ。
日王登場はソウル五輪後の90年代始め
日王登場はソウル五輪後の90年代始め
その朝鮮半島でも一瞬だが、皇帝を名乗った時期があった。1910年の日韓併合前に誕生した大韓帝国(1897年~1910年)の時代だ。しかし、13年ほどの大韓帝国の時代以外は王であったため天皇に対して、自分たちと同じ王扱いにするため日本国王と蔑む表記にして略して日王と呼んでいるのだ。
これが韓国建国当時から呼ばれていたのかと言えばそうではない。ジャーナリストの崔碩栄氏によれば、ソウルオリンピックが行われた1980年代後半までは天皇と表記され呼ばれていたのが、90年代に入ってから日王と呼ばれるようになり、今では、天皇がNGワード状態になっているという。
しかし、「日王」は比較的最近になって使われるようになった単語である。80年代までを考えても、「天皇」という単語が一般的に使われており、それを問題視する人も、言論もいなかった(その転換点になった出来事について別の記事で紹介したい)。だが、現在は、少しでも名前が知れた人が「天皇」という言葉を使いでもしようものならマスコミや一般市民から激しい批判から逃れることはできない、まるで「NGワード」化している。この現象は、韓国に劣らず反日感情の強い中国ですらみられない珍しい現象である。
(続く)