ベトナム人は今の中国を嫌っている
中国に対する警戒心が一貫してぶれないベトナム その2対中戦略で動くベトナムの続き。
ベトナムはアジア最大の反中国家、この言葉があまり品がよくないのであれば、ベトナムは、中国をもっとも警戒し距離を置こうとしている国と表現してもいい。あるアンケートによるとベトナム人の9割が中国を嫌っていたり、いい感情を持っていない。
実際にベトナム人へ聞くと、中国に過去1000年近く支配されたり、冊封体制に置かれたことで嫌っているわけでなく、あくまで今、現代中国のベトナムへの侵略的行動、高圧的な態度を嫌っているようだ。
どうやらベトナム人はあまり過去のことには執着しないそうだ。そのため55年ほど植民地支配したフランスに対してもそれほど嫌悪感を持つベトナム人は少ないと言われる。視点にあるのはあくまで今の現状なのだ。
訪越外国人も貿易相手国も中国が1位
そんな対中戦略的に親日なベトナムであるが、2018年ベトナムを訪れた日本人は約83万人。10年前の2倍増と増えているものの、同じ2018年、中国人は約500万人、韓国人は約400万人がベトナムを訪れるなど大きく溝を開けられている(いずれも外務省による推計値より)。
皮肉なことに中国と距離を保とうするベトナムを訪れる外国人では中国人がもっとも多く、また1位の貿易相手国でも中国であるのがベトナの現実なのだ。
アメリカへ貸しを作り対中戦略へ生かす
日本からダナンへの直行便は成田国際空港と関西国際空港から「ベトナム航空」の直行便があるだけで、「ANA(全日本運輸)」や「JAL(日本航空」)の直行便は未就航の状態だが、首都ハノイへは、成田、中部国際空港、関西、福岡空港からのJALやベトナム航空、LCC「ベトジェットエア」などの直行便が就航している。
北朝鮮からすれば2度目の米朝首脳会談は自国か中国で開催したかったのだろうが、トランプ大統領が北朝鮮へ譲歩したと受け取られ兼ねないため北朝鮮での開催や貿易戦争で追及の手を緩めない中国での開催もアメリカとしては中国へ弱腰を見せたと受け取られる恐れがあるので、ベトナムがアメリカ的にはベターな選択となったのだろう。
金正恩党委員長との会談場所として、アメリカは中部ダナンを希望し、濃厚と報じられてきたが、北朝鮮は大使館もあり、ホーチミン市から2017年に姿を消した北朝鮮レストランがいまだ健在な首都ハノイを希望した結果、アメリカが北朝鮮へ譲りハノイに決定したと日本時間の9日午前に発表された。
ベトナムとしては、アメリカへ貸しを作ることで、今後の対中戦略へ生かしていこうという思惑が見え隠れする。
平壌から2700km超。金委員長の移動手段にも注目
2月は米朝首脳会談の行方でベトナムが大いに注目されそうだ。
平壌から当初濃厚とされたダナンまでは直線距離で約3070キロメートル、本日、会談場所として発表されたハノイでも約2760キロメートルあり、金党委員長の専用機とされるイリューシン62M型機でも十分に飛行できる距離ではありそうだが、昨年6月のシンガポールでの米朝会談と同様に金正恩党委員長がどのような移動手段を使ってハノイへ飛ぶのかにも注目が集まりそうだ。
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金正恩党委員長の専用機とされるイリューシン62M型機