北朝鮮が邦人拘束事件報道に不満

北朝鮮が邦人拘束事件報道に不満

平壌国際空港(順安空港)

北朝鮮が邦人拘束事件報道に不満

 8月に北朝鮮で拘束されて8月末に解放された日本人拘束事件について9月上旬に訪中した北朝鮮観光総局(観光庁に相当)関係者が中国朝鮮族実業家へ対して日本の報道についての不満を口にした。

 「日本では日本人拘束を共和国が人質外交に利用するや無罪の人間を拘束した無法国家のように我が国に非があるかのような報じ方ばかりで甚だ遺憾である。我々は人道主義の立場に立ち寛大な処置で解放したにもかかわらず無礼だ」と述べたという。

日朝で異なるS氏の拘束状況

 また事実と異なっていると指摘したのは、

 日本では拘束されたS氏は平壌東南の南浦で写真撮影をしているところを拘束されたと報じられているが、実際は、以前から問題行動が目立ったS氏をマークしており出国時の平壌空港で撮影写真の確認をして観光では認められていない南浦の軍事施設を映していたため拘束したと述べたという。

 観光総局関係者によると、S氏は過去に東北部の羅先を訪れたときにもガイドの指示に従わない問題行動があったりしたことも明らかにした。


North Korea, Japan held secret meeting in Vietnam last month, didn’t inform U.S.: WP
南浦で拘束されたと伝える韓国英語ニュース『アリランニュース』

マークされていたオットー・ワームビア氏の手配旅行会社

 S氏は帰国後に記者会見を開いておらず、今後も開かれないだろうからこれらの拘束状況についての食い違いが埋まることないだろう。

 「S氏の旅行手配したイギリス人経営の旅行会社は、昨年死亡したアメリカ人大学生オットー・ワームビア氏を手配した会社と同じで、この会社自体が訪朝者に対する説明が不足していたり、誤った情報を説明している可能性があるために大学生の事件以降は注意深く警戒しているようです」(前出の朝鮮族実業家)

 S氏を8月末に解放したのは、スパイ疑惑が晴れたことと9月9日の北朝鮮建国70周年記念イベントを世界へ盛大にアピールするためにマイナスイメージを持たれなくなったなどの事情があったと見られる。

冷え込む日韓関係で注目される日朝交渉の行方

 7月にシリアで拘束されていた安田純平氏の助けを求める動画が続けて公開された直後だったこともあり、今回の北朝鮮日本人拘束事件は大きく報じられた。この事件報道の影響で家族や知り合いから反対されたのか9月9日の建国記念ツアー参加をキャンセルした人も出ている。

 北朝鮮としては本当に人道的な観点で解放したとしても日本や多くの国では日本と同じように報道されてしまうところが北朝鮮にとっては不幸だが、これは北朝鮮自身の過去数十年の国家としての振る舞いから生じている北朝鮮を取り巻く現実と言える。

 日韓関係がさらに冷え込む気配を見せ始めた今、韓国とのバランスを取るためにも日朝関係の行方は今後さらに注目されていくだろう。

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