切り取り利用される辛坊治郎氏

切り取り利用される辛坊治郎氏

切り取られた辛坊治郎氏出演の動画 出典 ウェイボー

 16日にABEMA Prime(アベマプライム)へ出演した辛坊治郎氏の動画が切り取られて、「日本の進歩的な良識人」「その通り」「まったく問題ない」となど都合よく利用されているようだ。

 中国人女性が沖縄県の無人島購入を報告する動画を中国SNSへアップして日本でも大きな話題となった。

 メインストリームメディアでも、連日のようにこの件を伝えるなど、関心の高さを感じさせてくる。

 微博(ウェイボー)にも大量の関連投稿が確認できる。

 当初、多かったのは、日本でも報じられた「中国の領土が増えた」「軍港を置こう」などネット愛国者「小粉紅」的なコメントだった。

 現在は、少し落ち着いてきたのか傾向が変わってきたようだ。

 沖縄の歴史、地政学的な解説をするようなコメントが増えてきている。

 ある投稿に書き込まれたコメントは、「沖縄は日本本土とは文化的な共通点は少ない」「琉球王国は独立国だったが日本が武力で併合した島だ」「日本が植民地にした」など確認できる。

韓国人の対馬訪問と近い中国人の沖縄訪問

 特にこの20年ほどの傾向として、中国国内の教育や情報では、沖縄がいかに日本とは違った文化なのかを説明する情報が多い。

 たとえば、「沖縄の伝統的な料理ミミガーは、豚の耳(正確には耳の皮)を食材とする料理であるが、日本本土には豚の耳を食べる食習慣は存在しない。同じような食習慣は中国福建省など南方地域にもある。つまり、沖縄は文化的には日本ではなく中国に近いのである」といった感じだ。

 90年代以降の中国での愛国心教育を受けた世代は、沖縄をどう認識しているのか確認してみるとわかると思う。

 中国共産党は、尖閣諸島は台湾の一部なので中国のもの。沖縄は、琉球王国時代には中国が支配していたし、文化的にも中国に近いから中国のものという刷り込みをコツコツと行っている。

 韓国人が、”対馬は韓国のもの”と歪んだ認知を持って対馬を訪れるのと似たメンタリティーで沖縄を訪問している中国人も少なくないと思われる。

沖縄=中国をサラミ戦術で積み重ねる中国のリアル

 中国国内で沖縄=中国を既成事実化させる動きを、時間をかけてコツコツ積み重ねる中国の動きを沖縄の人たちは、どこまで認識しているのだろうか。

 「沖縄の人民たちは日本政府から迫害されていて中国への併合を望んでいる」と、極端な例ではあるが、こんな陰謀論的なデマコメントも確認できるのが中国SNSの現実なのだ。

 日本政府や当事者の沖縄は、このままで手をこまねいていて良いのだろうか。

 一方的に言われて反論もしない現状は、サラミ戦術を常套手段とする中国の思うつぼである。

 少なくても沖縄出身者や在住者から、沖縄県民が中国への併合を望んでいるなんて声は、今までも1度も聞いたことないのだが…。

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