ホワイト国20から漏れた日本
最近、企業や団体から聞かれるのが、「中国人団体旅行はいつ再開するのか?」である。
現時点で話を聞く中国の旅行会社は、管轄する中国国家旅遊局(観光庁相当)から何も通達は出ていないとのことだ。
中国の旅行業界では、日本への団体旅行解禁は早くて4月末、遅ければ夏前までずれ込むとみている。
日本は中国政府が「中国人が行って良し」というホワイトリスト国20から漏れて団体旅行が停止したままであるが、再開へ向けた条件は整いつつある。
日本は12月末から水際対策強化で、中国からの直行便での入国者を対象にPCR検査を実施している。
このPCR検査は、今月中に終了することが発表された。陽性率が低下し1%を下回っていることと、懸念されたウイルスの変異が確認できないことが理由だという。
中国からの渡航者は、3月以降も引き続き入国72時間前のPCR検査の陰性証明は必要となる。
米国支持の日本を敵認定で禁止継続?
同じく韓国も中国からの水際対策を強化しているが、日本より厳しく中国人向けのビザ発給を停止していた。
韓国は、この処置を今月11日に前倒しで終了。対抗処置で中国が実施していた韓国人向けのビザ発給停止も18日に解除される見込みとなった。
こうとなると中国は、日本や韓国への団体旅行を禁止し続ける大義名分を失い、国内からの圧力で日本への団体旅行解禁…となりそうに思える。
しかし、中国政府の本音としては日本や韓国、もちろん、米国、欧州にはできる限り中国人を行かせたくない。
ここで新たな理由として持ち出してきそうなのが、例の偵察気球の問題である。
米国が中国が民間の気球と主張する気球を爆破。日韓は米国を全面的に支持することを表明した。
中国は、この日韓の支持を中国へ敵対行為とみなし、団体旅行を解禁しない理由にすることも考えられるという。
解禁後もコロナ禍前の状況には戻らない
「正直、中国人が喜んで行きたい国は20か国のうちタイ1か国くらいしかありません」と中国の旅行会社関係者は語る。
「団体旅行へ参加するほぼすべての中国人の旅行目的は、ショッピングだけと言っても過言ではありません。自然探索や世界遺産巡りなどへの関心は低いです。食事も保守的なので、その国の料理へ興味を示さない人がほとんどです」
中国からの距離、現地物価、法律の厳しさなどを加味すると、タイ以外では、ツアーへ参加する中国人的に楽しめる旅行先はないようだ。
というわけで、日本はもうしばらく中国人観光客が押し寄せる風景は戻ってきそうもない。
仮に日本への団体旅行が再開されたとしても、何かしらの制限は続きコロナ禍前の人数に戻ることはないと多くの中国情勢に詳しい識者はみている。
訪日中国人にどっぷりと依存してきた観光地やレストラン、家電量販店、ドラックストアなどは、今からでもターゲット国を変更する検討を急いだほうが良いのではないだろうか。