最高人民会議で「平壌文化語保護法」採択
北朝鮮の労働新聞は1月19日、最高人民会議第14期第8回会議(国会に相当)が17~18日に平壌で開催されたと報じた。代議員ではない金正恩(キム・ジョンウン)総書記は出席しなかった模様である。
会議では、核・ミサイル開発を含む国防分野などの2023年の予算が決定。
また、北朝鮮に流入する韓国風の言葉を規制する法令「平壌文化語保護法」が採択された。
韓国の若者言葉や韓国文化の流入を阻止する狙いがあるとみられる。
韓国風の言葉遣いへの対策か
平壌文化語保護法の条文は未公表だが、最高人民会議常任委員会の姜潤石(カン・ユンソク)副委員長が、同法の目的について報告している。
報告によると、同法の趣旨は、「我々の言語生活領域で非規範的な言語要素を排撃し、平壌文化語を保護し、積極的に生かしていく」というもの。
北朝鮮では、平壌の言葉を文化語と呼んで公用語として扱っており、金日成(キム・イルソン)時代からソウルの標準語と明確に区別されてきた。
今回わざわざ平壌文化語の保護を打ち出した背景には、平壌文化語を巡って何らかの異変があったのだろう。
ある情報筋は、近年、韓国映画などが北朝鮮国内に流入している影響で、若い世代で韓国風の言葉遣いが広まっていることから、その対策として平壌文化語保護法が制定された可能性があるとの見方を示した。
北朝鮮当局が頭を悩ます海外文化の流入
実はここ数年、北朝鮮当局は、海外文化の国内流入を阻止するための対策を進めてきた。
2020年には、外国からの文化の流入を遮断するために「反動思想文化排撃法」を採択。続いて、21年には、青年層にはびこる非社会主義的行為を取り締まるための「青年教養保障法」が採択された。
いずれも、北朝鮮の体制と相容(い)れない非社会主義行為への対策であり、今回の平壌文化語保護法もそのような統制の一環とみられる。
当局が、新しい法令を次々と制定している背景には、それだけ、海外文化の流入が深刻化している可能性がある。
前出の情報筋によると、中朝国境地域では、中国の携帯電話を使用して中国のインターネット網にアクセスし、海外ドラマなどをダウンロードする事例が相次いでいるとのことであった。
その上、韓流文化の流入により、平壌でも韓国風の言葉遣いが横行しているのであれば、当局にとって非常に頭の痛い問題となる。
八島 有佑
@yashiima
八島氏の記事、復活してたんですね。
五味洋二さんの記事といっしょに北朝鮮NEWSたのしみにしてます。