「Colabo問題」と密接に絡む「慰安婦問題」
韓国 3年で補助金5倍7千万円 なぜズブズブ尹美香と女性家族省?の続き。
韓国で尹美香(ユン・ミヒャン)氏の事件が「慰安婦ビジネス」だと騒がれる一方で、日本では今、一部のネットユーザーが「JKビジネス」や「貧困ビジネス」だと揶揄(やゆ)して民間の支援団体による補助金の会計処理問題を批判し、訴訟合戦に発展する騒ぎとなっている。
去年9月頃からネット上を賑わしている、いわゆる「Colabo(コラボ)問題」のことだ。
Colaboは、家出や夜の街を徘徊する少女らに声かけをし、必要なら食事や宿舎を提供する、いわゆるアウトリーチ支援事業を国と東京都からの委託を受けて行っている民間団体である。
こうした社会的弱者に対する必要な支援を行政に代わって実施する民間団体の事業と、その団体の代表を務める個人の政治信条は、本来は別個の問題として考えるべきだ。
しかし、Colaboの仁藤夢乃代表は、しばしば韓国を訪れて元慰安婦の女性らと交流していることや、去年8月にもソウルで行われた正義連の水曜集会に参加し応援スピーチを行ったことなどを自身のSNSで報告し、「慰安婦問題」と現代日本の若い女性たちが遭遇する性被害や性搾取の問題は、同じ背景をもつ問題だと一貫して主張している。
慰安婦とAV出演強要・JKビジネスが同じって…
たとえば、2017年8月に東京文京区で開かれた「日本軍『慰安婦』メモリアル・デー」の集会に、尹美香氏とともにスピーカーとして登壇し、慰安婦問題とアダルトビデオ(AV)出演強要、JKビジネスの問題を並べて報告している。
ネット上では、「現代の日本でも『慰安婦』にされた女性たちと同じような手口で女性たちが性搾取されています。慰安婦問題に向き合い、被害者の尊厳の回復に努めることなくして、この社会で性搾取・性暴力被害をなくすことはできないでしょう」と発信している。
「慰安婦にされた女性たちと同じような手口」とは、具体的に何を指すのかよくわからないが、韓国の慰安婦団体が主張するように“日本軍は若い女性の背中に銃剣を突きつけて強制的に拉致・連行した”というようなことを指すのだとしたら、いかにも時代錯誤である。
そうしたあり得ない状況認識で、家出や夜の街を徘徊する少女たちの心情に寄り添えるのかも疑問だし、元慰安婦の「尊厳の回復」もそれでできると本当に思っているのだろうか。
慰安婦問題の本質とは?
以前の記事でも触れたが、「慰安婦」という時代背景には、当時の農村の貧困問題がある。貧しい親たちが自分の娘を売って金に換えざるを得ない事情があった。
また、戦後半世紀近くもたって慰安婦問題が急浮上したのは、この問題を利用して日韓関係を分断しようとした親北朝鮮勢力の暗躍があったのである。
ところで、尹美香氏は今、国会議員を務めているが、一審判決で有罪になっても、国会議員としての残り1年4か月の任期は全うするものとみられる。
裁判は大法院(最高裁)まで行くのは間違いなく、判決確定は、おそらく任期を終えてからになるからだ。
尹美香氏の公判の行方は、慰安婦問題の本質を押さえる1つの方法かもしれない。
小須田 秀幸(こすだ ひでゆき)
NHK香港支局長として1989~91年、1999~2003年駐在。訳書に許家屯『香港回収工作 上』、『香港回収工作 下』、パーシー・クラドック『中国との格闘―あるイギリス外交官の回想』(いずれも筑摩書房)。2019年から2022年8月までKBSワールドラジオ日本語放送で日本向けニュースの校閲を担当。「ノッポさんの歴史ぶらり旅」をKBS日本語放送のウェブサイトとYouTubeで発表している。